ソロシンガー「TAKUYA」でメジャーデビューした 鈴木 卓也さん 南足柄市岩原在住 28歳
歌はスポーツ
○…ファッションモデルさながらのシャープな見た目とは裏腹に、話し出すと笑いが絶えない「三枚目」。184センチの長身と甘いマスクを持ち合わせているのに、女性になかなか話しかけられない照れ屋さんなのだとか。「昔から、男同士でワイワイやっているタイプ。これだけは直らない」。腰の低さと柔らかい笑顔がトレードマークだ。
〇…小田原出身。東富水小学校のグラウンドを駆け回り、サッカーや柔道に明け暮れた少年時代。音楽に興味を持ったのは、3つ上のお兄さんへの憧れから。小学3年生のときに初めてお小遣いで買ったCDは、ワンズの「恋せよ乙女」。後に自らが同じレコード会社からメジャーデビューするとは予想もしていなかった。初舞台は泉中学校の文化祭。全校生徒の前で歌った快感が、今でも忘れられない。
〇…本格的に音楽活動をスタートしたのは20歳のとき。健康用品のファイテンショップで働きながら都内でライブを行うものの、「まさに日々、茨の道でした」と振り返る。観客が立ち去り1人になっても「ここで止めるわけにはいかない」と、ひたすら歌い続けた。作った曲を事務所からことごとくダメ出しされ、落ち込んだりもした。「聴きやすく耳に残る曲づくりをしたい」と、小説を読んで言葉を必死に勉強。「歌はスポーツ。聴いて元気になってもらいたい」からこそ、流行語を使わない「普遍的な歌詞」にこだわる。
〇…努力が実を結び、次第にファンが増えてきた。「遠くから毎回来てくれる人もいます。すごく嬉しい」と目を細める。気さくな性格だが、「歌うときは格好つけていますよ」と真顔に。曲の合間にはいつもの素顔が戻り、大好きな地元、小田原の話とドラゴンボールの話をするのだとか。「やっとスタート地点に立てました。地元でも歌わせてもらえるように頑張りたい」。力強く前を見据える表情は、常に己を磨くアスリートのようだ。