中澤酒造の杉玉づくりを担当する 有川 格(ただし)さん 元松田町体育協会事務局長 68歳
地域に根ざし生きる
○…新酒ができたことを知らせるために酒蔵が軒先に吊るす杉玉(酒林)の作り手。松田町の中澤酒造か依頼され、12年前から作り続けている。「江戸時代から続く酒蔵の風習を通じて、地域の人に季節を感じてもらえるように」と、5年前からは酒蔵の前で作業をするようにしたところ、通りがかりに声をかける人も増えたという。今や、なくてはならない師走の風物詩となっている。
○…知人から贈られた新酒を飲み、「こんなうまい酒が地元にあったのか」とファンになった。熱心に酒蔵に通うようになり、地域活動を通じて面識ができた酒蔵の当主から、杉玉づくりの依頼を受けた。竹細工や剪定の経験があったため「調べてみれば作れると思った。なによりおもしろそう」と、ふたつ返事で受けることにした。文献などを調べ、使用する材料や芯材など12年間で試行錯誤を続け、今年はこれまでで最大の直径90cmの大玉に挑戦した。
○…長野県上田市出身。高校時代はハンドボールでインターハイや国体にも出場した。夢だった教職につくために中京大学に進学し、神奈川県の採用試験に合格。57歳で早期退職するまで秦野や小田原の高校で体育教師として教鞭を執った。退職後は県施設の職員として働きながら、松田町の青少年指導員や体育協会事務局長なども務めた。趣味の陸上は高跳びでマスターズ2位の経験もある。「最近はさぼりがち」と言うが、丹沢湖マラソンなどへの参加も続けている。
○…「自分のできること、持っていることで地域に対してできることをしたい」。暮らしに合わせて各地を転々としてきた。長野の実家で暮らす兄が、生まれ育った地元で地域貢献を続ける姿に強い憧れを感じている。「住む街の一員になりたい」と松田町でホタル育成、青少年指導、体育の普及などに関わってきた。「地域に根ざして生きるために何ができるか」。人生のテーマの答え探しは続く。
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