小田原小売酒販組合・小田原酒販協同組合の理事長を務める 瀬戸 淳一さん 南足柄市狩野在住 67歳
適度に、適正に楽しんで
○…1933年創業、祖父の代から80年以上続く酒屋の3代目。「コンビニが増えるなどし、酒屋は今や絶滅危惧種となりつつある。それでも、顔が見える関係を大切にやってきたし、これからもそうしたい」。今年2月に小売酒販・酒販協同両組合の理事長に就任、そう語る言葉は力強い。
○…狩野地区で農家の長男として生まれ育った幼少期は山に行ってはクワガタを捕まえたり、近くで友達と野球をしたりの日々。勉強は好きではなかったと笑うが、算数や数学は得意で「昔からきっちり答えが出るものが好きだった」と振り返る。大学は理工学部に進学。卒業後、一度は機械メーカーに就職したが、「酒屋を営む母親もいい年。継いでほしいと言われたことは一度もなかったが、放っておけなかった」とやさしさが背中を押し、25歳で退職。家業を継いだ。
○…地元の消防団員としても30年近く活躍してきた。ポリシーは「どこよりも早く真っ先に現場に駆け付け、火を消すこと」。商品の配達中に現場に急行したこともあったという。長年にわたる活動が評価され、今年11月には瑞宝単光章を受章した。「当然ながら、一人の力ではない。多くの人と出会い、支えられてきた証。関係者一人ひとりに感謝したい」と喜びをかみしめる。
○…組合としては定期的に未成年者の飲酒防止、交通安全の呼びかけなどの活動を続けている。「適正に、そして適度に楽しんでお酒を飲んでもらえることが何より。そのために酒屋として、組合員としてできることを地道にね」と力を込める。ちなみに自身は、日本酒を冷蔵庫の中で寝かせて、味わいの変化を楽しむのがお気に入り。「全然違うんだ、これが」といたずらっぽく笑った。