歌詩抄「籠居集 補遺」を出版した 湯山 厚さん 南足柄市広町在住 89歳
愛用の机から生まれる歌
○…このほど、2005年から詠んだ短歌、約250句をまとめた歌詩抄「籠居集 補遺」を出版した。1996年に上梓した「籠居抄」に続くものだ。取材で訪れた日は落葉樹の木立の下に咲くシュウカイドウの花が迎えてくれた。ガラス越しの緑豊かな庭を眺めながら、愛用の机から生み出される歌の数々。「新聞社からの文芸欄への掲載依頼が歌を作り続けた動機かな。気が付けばまとまった数になっていた」とユーモアを交えながらにこやかな表情で話す。8月24日には文芸仲間により出版を祝う会が小田原で盛大に開かれた。
○…1924年、足柄上郡桜井村曽比生まれ。4歳の時に湯山家に養子にいき湯山姓となる。二宮金次郎の遠戚筋にもあたる。南足柄小学校から県立小田原中学を経て、神奈川師範へ進んだ。「松田小や川村小、南足柄小、湯河原小など25年間小学校教師を勤めました」。クラスの学芸会で劇に取り組むものの、「人の脚本では面白くなかったんですね」。児童全員が出演できる劇をやりたいと思い、オリジナルの脚本を手がけていく。その作品は徐々に注目を浴びることになり、一部は教科書にも採用されることになった。「いつのまにか学校劇の先生と呼ばれるようになっていました」。『ツメなし猫なんかこわくない』は、劇団や学校劇などでいまも上演されているという。64年には国際教育会の短期留学生として渡米し、コロンビア大学等で学ぶ。NHK名作学校番組編成委員を務めたこともある。横浜国大、駒沢大学で教鞭を執り、都留文科大学では75歳まで講師を勤めた。教える、ということのプロ。「持っているものを押し付けるのではなく、どう生徒を惹きつけるかだね」。
○…民話の研究にも力を入れるなど、引き出しは多い。短歌は20歳から始めた。碧落短歌会所属。愛鳥のカナリアは3代目に。健康の秘訣を「宵っ張りの朝寝坊」と語るダンディな人柄は、人を魅了して止まない。
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