山北町シルバー人材センターの会員にお茶栽培を指導する 山崎 正次(しょうじ)さん 山北町湯触在住 76歳
足柄茶の今と向き合う
○…お茶の栽培が困難になった農家から畑を直接借りて、茶畑を存続させる事業を山北町シルバー人材センターが始めた。足柄茶のブランドを担う生産農家の衰退を誰もが感じるなかで始まった取り組みを技術面から支える。年齢を理由に再三固辞したが「余人をもって代えがたい」と事務局が熱心に口説き、指導員を引き受けた。「お茶づくりの担い手不足は摘採(茶摘み)作業の人手不足にある。まずはそこから」と感じている。
○…東名高速道路の下り車線と谷峨駅一帯、箱根外輪山を見晴らす山の斜面に自宅がある。道よりも高台にある平屋は代々にわたりこの地に根を張り、農家としての営みを続けてきた。「子どものころは手伝いが嫌だった」というが、遊ぶ時間を惜しみながらも家業を手伝ってきた。サラリーマンを経て50代半ばを過ぎたころ早期退職。それ以来、足柄茶の専業農家として地場産業や地域を支えてきた。「今まで培った技術が少しでも地域に役立てば」と奮起した。
○…1941年生まれ。76歳の今まで湯触を離れたことはない。洋菓子メーカー「不二家」の平塚工場に勤め、4歳年下の奥さんと知り合い結婚。1男1女を授かり孫2人に恵まれた。「足腰が弱くなった」「どっちが欠けても成り立たない」と先行きに不安もあるが、もしそうなれば「シルバーに頼むようだな」と笑う。もはや他人事ではないことも承知している。
○…「几帳面な性格」とは奥さんの談。否定も肯定もせず、にこやかに奥さんに目をやり目じりをさげる。「もっと優しく話せばいいんだよ」とつぶやくと、2人の大きな笑い声が家中に響いた。家の中も庭も、よく手が行き届いている。「きれいですね」と水を向けると「忙しくてあんまりできていないね」と答えた。この週末は、摘採か田植えをする予定だ。庭では青々と育った早苗が今や遅しと待ち構えていた。
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