日本代表としてフェンシング世界大会に出場する 大橋沃行(よしゆき)さん 唐沢在住 71歳
真剣勝負求める本能
○…世界のベテラン剣士が集うフェンシングの大会に市内の男性で唯一、日本代表として出場する。年齢を重ねるにつれ「自分が頭で考えるように体が動かない」と笑うが、長年の競技経験で培った巧みな試合運びと技術で、代表選考会では70歳以上の部で2位の成績を収めた。「剣を持った瞬間に自らを奮い立たせている」。優しい眼差しからは想像もつかない闘争心を内に秘める。
○…南区唐沢で生まれ育つ。石川小に通っていたころから、「頭は悪かったが背が高くて、走っても遠投してもクラスの上位だった」と運動神経には自信を持っていた。平楽中を卒業後、立野高校へ。バスケットボール部に所属していた3年生の時、試合中に右肩を脱臼。その後は”脱臼癖”がついてしまい、「スポーツはもうできないと思った」と、競技中に何度も肩が外れてしまう困難に悩まされてしまう。しかし、幸運にも「フェンシングの攻撃である『突き』の動きはできた」。関東学院大でフェンシング部に入り、「武器を持って戦う真剣勝負ができる喜びがあった」と、『剣士』の本能が目を覚ます。
○…大学卒業後は、家業の燃料店で精を出す。フェンシングからは離れていたが、知り合いの誘いもあり、20代後半に横浜YMCAで再開。その後、サラリーマンに転身してから仕事が多忙を極め、40歳でまた競技から離れた。それでも、「もう一度やりたい気持ちがずっとあった」と情熱が尽きることはなかった。約30年のブランクを経て、68歳でカムバックを果たす。
○…現在、マンション管理などを手掛ける会社で働きながらトレーニングに励む。洋楽ロックが好きで「車ではプレスリーを聞いている」と笑顔。YMCAで出会った妻や娘と一緒にバーベキューを楽しむ時間も好きだ。「来年、フランスで開かれる世界大会にも出場したい」。燃えたぎる『剣士』の本能が真剣勝負を追い求めている。
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