障害者支援拠点の開設協力を求め、約7,500人の署名を区に提出した 布川 美由紀さん 美しが丘西在住 56歳
志胸に、人と楽しむ
○…「障害がある次世代の子たちの生活場所をつくらなければ」。「青葉区型・地域共生を進める会」を昨年11月に発足させ、作業所やグループホームなどが区内北部エリアで不足している現状を伝えてきた。7千を超える署名に「3千人以上が目標だったので自分でも驚いている。後には引けない。思いを形にしないと」と、決意は固い。
○…長男・海人(かいんど)さん(25)には障害があり、母親として3つの障害者団体に所属する。息子が通った養護学校での広報委員を機に、親の交流を通じて活動に携わるように。「まだ1歳の次男を連れていた頃、泣くと周りのお母さんたちがあやしてくれて」。以来、中学高校でPTA会長もこなした。そこで聞いたのは「昔は障害児を外に出すことすら大変だった」という親たちの苦難の道のり。「今、息子が作業所に通えるのは先輩方が努力して環境を整えてくれた結果。今度は自分たちが次の世代のために道をつくっていく番だと思う」
○…今では「楽しむこと」がモットーだが、息子が生まれてしばらくは障害を受け止められず悩む日が続いた。ある日、年中だった次男が「海人がもし喋れたら何て言うと思う」と尋ねてきた。聞くと「『本当は元気に生まれたかった』って言うに決まってるじゃん!」と一言。子どもの率直な言葉に、それまで家族で自分が一番かわいそうだと感じていたことにはっとした。「一番辛いのは海人。同じ時間を過ごすなら自分が楽しまなきゃ」。これまでの自分が変わっていくのを感じた。
○…面白かった子育ては一段落し、最近は「少し寂しいけど、今は家族一緒に楽しみたい」という。20年暮らす美しが丘では移動支援やヘルパーを通じ、できるだけ長男を外に出してきた結果、海人さんを知る人も増えた。話せなくても、にこにこ見つめる海人さんに「こんにちは」と話しかける人もいる。「子どもも大人も、障害がある人もない人も一緒、そんな世界が好き」
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