港北警察署長を務める 笠 佳孝さん 新横浜在住 55歳
「没我献身」胸に抱き
○…公安2課や機動隊長を経験。長く警備部に勤め、要人警護など日本の平和を陰で守ってきた。署長としてのキャリアは平塚署に続き2署目。3月に着任した港北区の印象を「自然とともにありながら、発展し続けている地域」と語る。「悪人を捕らえ、街の平和を守る。自分たちにしかできない役目を果たすのみですよ」
○…厚木市生まれ。戦争を経験した父の背中に学んだのは、「日本の安全・平和は、先人たちがその身を捧げて守ったもの。当たり前ではない」ということ。「自分も先人の思いを継ぎ、命をかけて街や人を守る仕事をしたい」。そんな思いを胸に、子どもの頃から警察官を志した。
○…2015年には当時の皇太子殿下の石老山登山の側近警護、さらにAPEC首脳会談の警備などにも携わった。「皆がよくやってくれて」。乗り越えてきた数々の任務の陰には、いつも懸命な部下の支えがあったと振り返る。彼らの上に立つ者として、「部下の話に耳を傾けられる上司」を心がけている。格闘カラテの6段保持者。「15歳から続けている」と誇らしげに拳ダコを見る。ウェイトトレーニングと毎朝のランニングも欠かさない。「苦しいこと、苦手なことを乗り越えてこそ成長。自らがその姿を見せ、人を育てる」
○…「ときには命をかけることもある危険な仕事。志高く、その身を国の平和に捧げること」。部下の前でそう訓示した。警察の仕事は犯罪の「予防」と「検挙」。「予防」には地域の関係機関・団体と協力していく一方、「『検挙』は警察官にしかできないこと。徹底してあたる」と語る。すべては港北、ひいては国の平穏のため、私心を捨てて尽力する。「没我献身」の心は固く揺るがない。