横浜市交通局の遊覧バス「横濱ベイサイドライン」が9月末で運行を終了する。赤字が常態化し、80年以上続いた遊覧バス事業に終止符が打たれる。それに代わり、10月からみなとみらいなどを周遊する「あかいくつ」を増便するほか、観光客向けの路線を新設。路線再編で回遊性を高めようとしている。
市の遊覧バス事業は1935年に始まった。現在の「横濱ベイサイドライン」は午前、午後に出発する便と土曜夜に夜景スポットを巡る3コース。いずれも、横浜駅東口を出て、ガイドの案内を受けながら、ベイブリッジや赤レンガ倉庫などの名所を約2〜4時間で回る。午前、午後コースの料金は1人2900円。
同局によると、2014年度の利用客は約1万3千人。この10年間で約3割減少した。05年以降、毎年、年間数百万円から2千万円近い赤字が続く。ルートや車両の見直しなどをしてきたが、赤字体質から抜け出せず、事業終了を決断した。
利用客減少を同局は「利用客が決まったルートを回るスタイルから行きたい場所を調べ、自由に散策する形へシフトしており、ニーズが変わった」と分析する。
黒字部門を強化
ベイサイドラインとは対照的にみなとみらいや中華街などの観光スポット付近で乗り降りできる「あかいくつ」は05年の運行開始から黒字が続く。乗車料金100円という安さとレトロ調の車体が人気で年間100万人以上が利用。土曜、日曜には混雑し、乗車しきれないこともあるという。
この状況を受け、10月から、中華街・元町ルートを増便し、運行間隔を15分から10分に短縮する。増車や車両更新によるコスト増で料金は路線バスと同じ220円に値上げされる。
同時に横浜駅から三溪園、赤レンガ倉庫、野毛山動物園へ行く「ぶらりバス」と名付けた3路線を新設。あかいくつと組み合わせ、橫浜の人気スポットをバスで巡回してもらおうとしている。同局は、これらのバスに1日乗り放題となる500円のチケット販売に力を入れる方針だ。
同局は「80年間、横浜観光の足として、遊覧バスを運行して培った周辺施設との連携などのノウハウを新路線でも生かしたい」と話している。
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