矢部町にある善了寺では、耐震強化を目的として、本堂の建て替え工事が進められている。採用したのは、「寺の本堂としては日本初では」(施工業者)という土と藁を使ったストローベイルハウス工法。6月20日〜25日には、地域住民らが参加し、壁材づくりや壁塗りを体験した。
善了寺の旧本堂が建てられたのは1955年。耐震性などの問題から、このほど建て直すこととなった。新本堂はストローベイルハウス工法で作られ、富山から建築業者を招き工程が進められている。6月20日から行われた地域住民向けのワークショップには、日ごろ体験する機会の少ない建物づくりの作業に、地元の大学に通う学生や近隣住民など多年代が参加した。
ストローベイルとは圧縮された藁のブロックのこと。そのブロックを壁として使い、積み上げたブロックに藁と土を混ぜた壁材を塗ることで完成させる。
参加者が主に行ったのは「藁と土を足で踏みながら混ぜる壁材作り」と「積み上げたブロックへの壁材塗り」で、建設業者の指導のもと進行。6月22日に参加した明治学院大学の4年生は、所属するゼミの同級生から紹介され、「もともと(ストローベイルハウスに)興味はあったが、実際に足で土を踏んでみると感触が楽しい」と壁材作りの感想を話した。同寺の住職・成田智信さん(46)は「地域住民の力で、皆が交流するスペースを作る作業に感動した」と語った。
本堂を構成するストローベイルは富山県立山町の小麦藁でできており、約160個が使われている。同工法の発祥は米国の森林が無く木材の調達が難しい地域で、雑草や牧草を固めて作ったブロックを家作りの材料とした工夫から始まった。工法の利点として【1】藁が高断熱性を有する【2】主に藁と土からできているため、解体すれば約3か月で自然に還る【3】建設に伴うCO2の排出量が少ない――などが挙げられる。課題は耐食性や壁内の湿度管理。業者と専門家による定期的な観測を行い対策とするという。建設を担当する富山県の建築業者、有機建築左吉の代表・吉本宏明さん(39)は「富山の藁を使い、地元では地産地消をしている。(今回は富山のストローベイルを使うが)今後は戸塚でも実現できれば」と期待を語った。新本堂の完成は来春4月を予定している。
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