菓子の製造・販売を通し、知的障害者の就労機会を作る就労継続支援B型事業所(※)「スマイルガーデン」が11月1日、上矢部町に開所した。著名なパティシエや絵本作家とコラボし「おいしくて、買いたくなる菓子づくり」を目指す。12月上旬から販売開始予定。
11月中旬、同所の厨房では、数人のスタッフがクッキーやマドレーヌの試作に励んでいた。
レシピは、埼玉県内で菓子店を営む横田秀夫シェフが考案。試作した菓子を横田シェフに食べてもらい、認めて貰えないと、店頭に並べることができない。
同所のスタッフで社会福祉士の星野圭美さん(29)は「スタッフは、障害のあるなしに関わらず、横田さんにゴーサインを貰えるよう、協力しながら取り組んでいます」と話す。
質の高い菓子を
スマイルガーデンは開所にあたり、株式会社テミルが企画した「テミルプロジェクト」に参加した。
福祉施設で販売される菓子が「障害者が作ったから買ってもらうもの」ではなく、「質の高さを評価されるもの」に変えていこうというのが、同プロジェクトの目指すビジョン。著名なパティシエの指導のもと菓子作りを行い、絵本作家のデザインでパッケージをつくることで、「買いたくなる菓子づくり」を目指す。
スマイルガーデンでは、横田シェフとともに、絵本作家のありま三(み)なこさんがコラボする。ありまさんによるイラストは菓子のパッケージのほか、内装などにも使われる。
やりがいづくりにも
就労継続支援B型事業所は、雇用契約を結ばないため、就労者のペースにあわせた支援をすることができる。一方で給与が全国平均で月に1万数千円と、低いことが課題となっている。
「質の高い菓子を多くの人に買って貰えれば、生まれた利益をお給料として還元できる」と星野さん。菓子が人気になることは、就労者のやりがいにもつながるという。
今後は地域の交流スペースになるような場所を目指す。同所を運営する株式会社スマイルワンの星野斉代表取締役(55)は「街にある様々なお菓子屋さんと同じように、街に受け入れてもらえれば」と話す。
※就労継続支援B型事業所…通所による就労や生産活動の機会を提供し、一般就労に向けた支援も行う。雇用契約を結ぶ「A型」に対し、雇用契約を結ばず、最低賃金の規定もない。
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