区内で外国籍の子どもたちに向け、1対1で日本語と教科の指導を行う「キララの教室」(飯塚紀子代表)が、設立10周年を迎える。これまで学習支援のほか、保護者の悩みにも耳を傾け、親子が学校や地域にとけ込めるようサポートするなど、意義ある活動を続けている。
週2回程度、川上町にある「とつか区民活動センター」で教室を開く同団体。現在通うのは中国、ベトナム、フィリピン、ブラジルの4カ国、21人の小中学生だ。日本語が話せない状態で来日した子や、日本で生まれ育ち、日常会話に支障はないものの、漢字や単位の数え方など、学習に使う言葉が苦手な子を対象に指導にあたっている。形式は、個々の家庭事情や学習理解度を把握した上で細かい指導を実現しようとマンツーマン体制。これまで50人以上が“卒業”し、「九九が言えるようになった」や「勉強だけでなく友だちもできた」などの声があがっている。
葛藤乗り越え一歩踏み出す
発足のきっかけは、飯塚代表が小学校教員時代に外国籍の児童を担任した頃の体験だ。「宿題で分からないところがあっても、親も日本語の読み書きが不自由なため家庭で解決するのが難しい。しかし学校では十分な時間を割けなかった」。葛藤のなかで「なんとかしたい」という思いが募り、退職後の2009年、3人のボランティアとともに夏休みの課題など一緒に行う課外教室の形でスタートさせた。
現在は36人が指導ボランティアに従事。携わるのは、定年退職後の人や主婦などさまざまだ。ボランティアの藤沢和隆さん(67)は「最初は教え方に苦戦することもあったが、試行錯誤して子どもたちと接するなかで(こちらが)勉強になることの方が多かった」という。
また、学習支援だけでなく、保護者のサポートも重視。「子どもが学校で友だちと仲良くできているか」や「日本の子どもと同じように希望する学校へ進学できるか」といった不安を抱える親に対し、面談を行うほか、電話でつねに連絡を取り合えるような関係づくりにも努めてきた。飯塚代表は「同じ地域でともに生活する“仲間”だからこそ寄り添いたい」と話す。
区内外国人は増加傾向
先月、外国人労働者の受け入れを拡大する「改正入管法」が施行。また、市内の外国人人口が10万人を突破するなど、外国人を取り巻く環境は変化している。区内には現在4211人在住(2019年4月末時点)、5年前の同月比で約1100人増えており、市内で10番目に多い。
市はこうした状況に対応しようと生活情報を提供する「国際交流ラウンジ」を33年前から市内11カ所に開設しているが、戸塚区には未設置の状況だ。飯塚代表は「これから外国籍の児童は増えていくと思う。今後も支援に力を入れたい」と話す。
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