災害時に設置される「地域防災拠点」への避難が、身体的・地理的理由などにより困難な人のため、新たに「助け合い避難場所(中間的避難場所)」を設置する動きが保土ケ谷区内で始まった。市内初の取り組みとして、今後自治会等で準備を進めていく。
自宅の倒壊等により、避難が必要となった人のための「地域防災拠点」としては、区内で26カ所の小・中学校が指定されている。1拠点あたりの収容人数は約1千人。
しかし、保土ケ谷区は山坂が多い地形の特性もあり、以前から「地域防災拠点までの道のりが遠く、避難できるか不安」といった声が区民からあがっていた。
そこで区では、昨年9月から自治会長や副区長、専門家らをメンバーとする検討委員会を設置。「助け合い避難場所」の必要性について話し合い、整備や検討方法をまとめた報告書を作成した。
今年1月にはこの内容を連合自治会・町内会に連絡しており、今後は、各自治会等で検討を進めていく。
横浜市の防災計画では発災後、一時的な避難をする場所として、公園などの「いっとき避難場所」を指定。その後、自宅に戻れる人は帰宅し、それが困難な人は「地域防災拠点」に避難するという流れになっている。
主体は地域住民
「助けあい避難場所」はこの間を埋める存在と位置づけられるもの。区としてこうした避難場所の設置に取り組むのは、市内では初。
行政などのいわゆる「公助」で運営される「地域防災拠点」とは異なり、「助け合い避難場所」は、地域住民が互いに協力しあう「自助・共助」によって任意で設置・運営されるもの。このため「地域防災拠点」への距離や地形、住民構成などに応じ、設置の有無や場所も地域住民が決定。避難場所での生活に関しても、自治会役員や避難者同士の協力で運営する。
また、区災害対策本部から提供される支援物資などは、「地域防災拠点」に届けられるため、ここからの運搬方法などに関しても検討が必要となる。
施設に関しては、公的施設は防災拠点などとして利用されることから、検討委員会では、自治会館などの地域共有施設、寺院、幼稚園などの民間施設を候補に挙げている。また、あくまで一時的な避難場所であることから、利用期間は発災後1週間とする。
区内では「初音ヶ丘幼稚園」(初音ヶ丘)など、今回の取り組み以前から、自治会と施設所有者の話し合いにより、同等の避難場所を準備している例もある。
施設選定など課題も
今後、各自治会などで設置準備が進むと見られる「助け合い避難場所」。行政側で設置期限等を決めることはないが、施設についてはアクセスや収容人数、耐震性、インフラ設備などの条件を満たしている場所の選定、施設所有者との事前協定などが不可欠。「地域防災拠点への避難が困難」という点に関しても、どこまでをその対象と線引きするか、地域への周知をどのように図っていくかなどの課題が浮上することが予想されている。これに対し、区では「利用する自治会館の耐震診断費用補助などを通じてサポートしていきたい」としている。
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