地震による揺れを感知して通電を遮断する「感震ブレーカー」の普及に向け、横浜市は4月から1世帯単位での補助制度を拡充した。2020年度は5区だった対象地域を保土ケ谷を含む11区に広げ、木造住宅密集地での設置促進を目指す。
木造密集地で普及急ぐ
消防庁の調べでは地震による二次災害で最も多いのが火災で、東日本大震災における火事災害の出火原因の約6割が電気関連製品の配線などからの出火だった。このため各自治体は大きな揺れを感知すると自動的に電気の供給を遮断する「感震ブレーカー」の普及を急いでいる。
横浜市では、2013年度に全国初となる設置費用の補助を開始。15年度からは自治会・町内会が複数の加入世帯を取りまとめて申請する形で普及を図ってきた。20年度は自治会・町内会を経由せず、1世帯のみでも申請ができるよう制度変更を行っている。
4月からは、制度対象地域を磯子・神奈川・中・西・南の5区から保土ケ谷・泉・金沢・港北・鶴見・戸塚を加えた11区に拡大。計36万世帯から申請を受け付ける。
補助対象となるのは分電盤やコンセントに設置する「簡易タイプ」と呼ばれる器具で、購入費用の半額(上限2千円)を助成。震度5強相当以上の揺れでおもり玉が落下してブレーカーを落とす製品なら、1500円程度で購入できる。同居者全員が65歳以上などの要件を満たせば、器具の取り付け代行も行う。
総務局地域防災課の担当者は「感震ブレーカーの認知度はまだまだ低いが、効果や補助制度の内容を知ってもらえば設置のハードルは下がるはず」と強調する。対策地域に指定する11区での普及を最優先するため、他の7区に補助を拡大する予定はないという。
余震以降問い合わせ増
同課によると、2月に東北地方で発生した東日本大震災の余震とされる地震以降、市民からの問い合わせが増えているといい、「震災から10年の節目に設置を検討してもらえたら」と呼び掛けている。
区独自の制度で11団体729個
保土ケ谷区では設置補助が木造密集地域に限られている市の事業を補完する形で、対象区域外の自治会・町内会における設置を後押しすることで区内における感震ブレーカーの普及率を高めるため、独自の補助制度を2018年度から展開している。
区総務課によると昨年度1年間の設置件数実績は13団体で804個。このうち区の補助事業を活用し、設置したのは11団体で729個、市の補助事業によるものは2団体で75個だった。
この結果を受け区は今年度も独自の補助事業を継続し、さらなる普及を促進する方針だという。問い合わせは区総務課【電話】045・334・6203へ。
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