休業や失業など新型コロナの影響による生活困窮者を支援するコロナ特例貸付。申請開始の昨年3月末から1年が経ち、4月末時点では横浜市内の申請件数は5万8343件にのぼる。既存の貸付制度は例年800件程度(決定件数)のため、比にならない規模だ。
コロナ特例貸付は、「生活福祉資金」制度の特例として国が昨年3月に設けた。所得要件などがなく、比較的簡単に手続きができるとあって、窓口を担う各区の社会福祉協議会には多くの申請が寄せられている。
貸付には2種類あり、一つが緊急小口資金(上限20万円・返済2年以内)、もう一つが総合支援資金(月上限20万円×最大3カ月、返済10年以内)。いずれも無利子。総合支援は延長が可能(最大3カ月)。また2月19日からは再貸付(最大3カ月)の申請が始まった。いずれも今年6月末が申請期限だが、過去4回期限が延長されており、社会状況次第でさらなる延長もあり得る。
横浜市内の申請件数は、5月には約6千件あったものの、その後、緊急小口および総合資金の申請は減少。11月には延長申請を含めても2400件弱となったが、2月19日から再貸付の開始もあり、3月は月次で最も多い8926件となっている。
市社会福祉協議会では、1月の緊急事態宣言の影響や当時の申請期限が3月末だったことから、「駆け込みもあったのでは」と分析する。今後の動向については、3回目の緊急事態宣言やまん延防止等重点措置もあり予測が難しい状況だ。
包括的な生活支援も
市内で最も多い6千件余りの申請が寄せられている鶴見区の社協職員は「貸付だけで終わらせず、社協のネットワークを活用した食支援なども提案している」と話し、生活困窮者の包括的な支援につなげたい考えだ。また、ある社協関係者は「継続して生活困窮者を支えていくためにも、職員の確保など十分な体制づくりが必要」と指摘していた。
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