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鎌倉のとっておき〈第34回〉 描かれてゆく鎌倉

掲載号:2018年2月2日号

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毎年薪能の舞台となる鎌倉宮
毎年薪能の舞台となる鎌倉宮

 鎌倉の地はこれまで和歌や小説など様々な作品の題材となり、その舞台となっている。「鎌倉」の名は古くは奈良時代『古事記』に登場し、日本最古の歌集『万葉集』にも、ゆかりの歌が収められている。

 中世鎌倉の文学作品をひもとけば、紀行文『海道記』の中で「(由比ヶ浜は)数百艘の船がつながれていて近江の大津浦のようだ」と記され、当時の繁栄ぶりがうかがえる。また、後深草院二条の女流日記『とはずがたり』では、「化粧坂という山を越え鎌倉の方を眺めると、家々が階段のように幾重にも重なって、袋の中に物を入れたようだ」と描かれ、当時の町並みも目に浮かんでくる。

 かの源実朝は『金槐和歌集』に、「鶴岡あふぎてみれば嶺の松こずゑはるかに雪ぞつもれる」と残しているが、何の因縁か歌に詠んだ鶴岡(八幡宮)にて落命した。ほかにも、女流歌人の阿仏尼は『十六夜日記』で、「あずまにてすむ所は、月影の谷とぞいふなる。浦近き山もとにて、風いと荒し」と極楽寺近くの月影ヶ谷を表している。

 時を経て、大正・昭和期、芥川龍之介などあまたの鎌倉文士が活躍したなか、立原正秋は『薪能』で「薪能をみにでかけたのは、(中略)暗い夜を彩る滅びの火に惹かれていたからだ」とその心情を描写している。

 そして最近では、漫画『海街diary』や『鎌倉ものがたり』が日本映画界きっての監督・製作陣で映画化され大きな話題となった。

 今も昔も人々の心を引きつけてやまない「絵になるまち鎌倉」。次はどんな作品の舞台となって新たな魅力を発信するのか、今から楽しみだ。   石塚裕之
 

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