鎌倉のとっておき〈第37回〉 鎌倉と節目の歴史〜350年前〜
全国有数の観光名所・鎌倉で、最も訪れる人が多いのは鶴岡八幡宮である。同宮が現在地に移ったのは、源頼朝が鎌倉入りをした治承4年(1180年)。今からおよそ840年前のことである。その後、鶴岡八幡宮は鎌倉幕府の篤い崇拝のもと、徐々に造築と整備が行われていった。そして鎌倉幕府滅亡後も、室町時代は関東公方足利氏や小田原北条氏の援助、安土桃山時代には豊臣秀吉・徳川家康による復興が行われた。江戸時代に入っても、二代将軍徳川秀忠の若宮再建が行われ、その援助は続いた。
そんな中、今から350年前の寛文8年(1668年)、江戸幕府により鶴岡八幡宮の社殿改修と、若宮大路の海側から一、二、三と数える3つの鳥居が、木造から石造に改替された。これらの鳥居は四代将軍徳川家綱の寄進で、前年から造り替えが進められていた。この時の石造の鳥居は明治37年(1904年)に特別保護建造物に指定されたが、惜しくも関東大震災で倒れた。現在、二ノ鳥居と三ノ鳥居は鉄筋コンクリート造で再建されているが、一ノ鳥居は、昭和11年(1936年)に石材で再建、翌年竣工奉祝祭が行われた。
この一ノ鳥居の柱には「寛文八年戌申八月十五日 御再興 鶴岡八幡宮石雙華表」と刻まれている。鳥居は高さ約8・5m、笠石という鳥居の一番上の横石は長さ約13mにおよぶ。鳥居としては数少ない国の重要文化財に指定されている。
このように中世以来たくさんの歴史と由緒を持つ鎌倉には、節目にあたる出来事がまだまだ数多く存在している。そんな過去を遡り、節目の歴史を感じるのも鎌倉の魅力の一つである。
浮田定則
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