鎌倉版 掲載号:2019年6月21日号 エリアトップへ

鎌倉のとっておき 〈第61回〉 文学散歩 太宰治

掲載号:2019年6月21日号

  • LINE
  • hatena
腰越にある小動岬下の畳岩
腰越にある小動岬下の畳岩

 鎌倉は明治以降、多くの文人たちが住み、愛され続けてきた街である。

 その文人たちが残した肉筆原稿や日記などが見られるのが、長谷にある鎌倉を代表する別荘建築の鎌倉文学館。季節ごとに色々な展示があり、昨年秋には「鎌倉時代を読む」の特別展が開催された。ボランティアで日本語を教えている知り合いの米国人留学生が大の太宰治ファンということで、「右大臣実朝」の肉筆原稿を見に一緒に出掛けた。

 何か雑で精神不安定なところが字体に現れている感じ。そばに展示の鎌倉在住でもあった芥川龍之介の繊細緻密なそれとは、好対照な印象を受けた。まだ秋薔薇が咲き誇る文学館を後に、由比ガ浜から江ノ電に乗り、腰越の小動岬へ向かった。

 太宰は鎌倉に住んでいたわけではないが、まだ学生で世に作品も出していない頃、最初に睡眠薬を服用して心中事件を起こした場所が、小動岬下の畳岩だった。太宰にとって鎌倉は、大変因縁深い場所であり、またこの事件を題材に、ちゃっかり小説「道化の華」も書いている。岬のすぐ近くには、太宰と相手の女性が心中の後、担ぎ込まれた慧風園(当時は結核療養所、現在は胃腸病院)が今も残る。

 この病院が無かったら、太宰は助からなかったかも知れず、数々の名作も生まれてこなかったのかと思うと、感慨深い。留学生のおかげで、良い文学散歩の一日となった。

横山雅樹
 

鎌倉版のコラム最新6

猫が残してくれた宝物

鎌倉のとっておき 〈第62回〉

猫が残してくれた宝物

7月5日号

大自然からの贈り物

鎌倉のとっておき 〈第60回〉

大自然からの贈り物

6月14日号

鎌倉文士からの贈り物

鎌倉のとっておき 〈第59回〉

鎌倉文士からの贈り物

5月24日号

鎌倉にまつわる元号

鎌倉のとっておき 〈第58回〉

鎌倉にまつわる元号

5月1日号

鎌倉「路(みち)」めぐり

鎌倉のとっておき 〈第57回〉

鎌倉「路(みち)」めぐり

4月26日号

鎌倉と市民憲章

鎌倉のとっておき 〈第56回〉

鎌倉と市民憲章

3月29日号

あっとほーむデスク

  • 7月19日0:00更新

  • 7月12日0:00更新

  • 7月5日0:00更新

鎌倉版のあっとほーむデスク一覧へ

イベント一覧へ

夏の地獄展

夏の地獄展

観音ミュージアム

7月12日~9月23日

鎌倉版のイベント一覧へ

最近よく読まれている記事

バックナンバー最新号:2019年7月19日号

お問い合わせ

外部リンク