鎌倉のとっておき 〈第63回〉 大垣市守屋多々志美術館
円覚寺仏殿の天井画「白龍図」を描いた守屋多々志画伯は、1912年に大垣市で生まれました。旧制大垣中学を卒業すると、前田青頓画伯に師事。東京の美術学校に通い、師と同じく鎌倉に居を構え、終生暮らしました。
今年の2月に美術館を訪ね、「武士の魂」とのテーマで武者絵が主体の企画展を見てきました。印象に残ったものは、赤糸威の胴丸鎧に烏帽子をかぶり、青い水辺で立膝をつく若武者の絵です。題は「実朝」でした。
JR大垣駅から南に大通りを歩いて、お城の入り口の先、郭町交差点の角に「大垣市守屋多々志美術館」の額をショーウインドウに掲げるビルがあります。美術館の人に尋ねたところ「書は守屋多々志画伯の自筆」、また「美術館の建物はデパートだった」とのことです。そして、「年4回テーマごとに展示作品を入れ替えている」そうです。
2001年7月28日に美術館が開館した際に出版された図録「守屋多々志作品集」に収録されている「開館によせて」の中で、守屋画伯は少年の頃を振り返り、「特に、日本画の伝統である大和絵が大好きで、歴史や文学に題材を求めておりました」と語っています。
1941年の第28回院展に初入選した作品は「継信忠信」でした。鎌倉に縁がある、源頼朝や北条政子などの人物画も数々の作品があります。
三品利郎
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