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鎌倉のとっておき 〈第81回〉 故・山口淑子と鎌倉

掲載号:2020年3月27日号

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 歌手で女優、政治家の故・山口淑子は1920年2月12日、遼寧省瀋陽の近郊で生まれた。今年はちょうど生誕100年にあたる。

 自伝「李香蘭私の半生」を読むと、山口は一時期、鎌倉に住んでいたことがわかる。漢奸(かんかん)の嫌疑が晴れて中国の軍事裁判で無罪となり、46年4月に上海から引き揚げて来た時のこと。一緒に帰国した川喜多長政の好意で、「真むかいの川喜多家所有の洋館は米軍に接収され米海軍の将校一家が住んでいたが、私はその階下の一室に居候することになった」という。

 また、51年に彫刻家のイサム・ノグチと結婚すると、「日本での住まいは、鎌倉市大船にあったノグチ氏の友人の陶芸家、北大路魯山人氏の民芸風の茶室を借りた」という記述がある。ノグチとは足掛け5年たらずで離婚となったが、終生、友人として交流を続けたという。

 その後、外交官の大鷹弘と任地のミャンマーで結婚してからは、鎌倉に住むことはなかった。

 左上にある写真は、鎌倉市川喜多映画記念館の入り口と復元された川喜多氏旧宅の板塀。塀の前の道は、「窟(いわや)小路」と呼ばれ、鎌倉時代から残る道だそうだ。かつて、若き日の山口淑子がこの板塀が続く窟小路を歩き、劇場や撮影所へ通っていたのだろう。

三品利郎
 

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