市内山ノ内の浄智寺で11月11日、四半世紀続く毎年恒例の写真供養感謝祭が開かれた。他界した家族が写るものや、別れた恋人との1枚…。参加者は持参した写真を燃やし、思い出に手を合わせた。
「心のどこかに引っかかっていた」。プリントした約30枚を持参した40代女性は、かつて美容カメラマンとしてコンテストで受賞するなど名をあげた。それから20年、現在は別の環境に身を置く女性は「過去の成功によるこだわりを消したかった」と、撮りためた作品をそっと炉へ。燃え盛る火を眺めてから会場を後にした。
25年ほど前、地元カメラマンが写真教室の生徒と共に、瑞泉寺で始めた写真供養祭。実行委員は若返り、会場が浄智寺に移りはしたものの”儀式”は脈々と受け継がれる。会場そばの本堂からは読経が聞こえ、参加者は写真をくべて一礼。すぐそばに焼香台も用意された。世の中には写真引き取りサービスもある中で、参加者は「自分の手でくべることに意義がある」。
毎年参加しているという90代女性は、2年前に死別した夫の写真を初めて持参。悲しみから他界直後はアルバムを開くことができなかったが、ようやく向き合えるように。「一部は残しつつ、整理を進めた」と話し、60年連れ添った夫へ思いを馳せた。
他にも別れたばかりの恋人、終活の一環で手放す若き日の自分など、市内外から訪れた約150人が、それぞれの思い出とともに写真を供養した。
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