「紙芝居師なっちゃん」として鎌倉を拠点に活動する 中谷 奈津子さん 稲村ガ崎在住 35歳
紙芝居は「真剣勝負」
○…8月29日に市教養センターで行われた防災教室。トレードマークの赤いバンダナを身につけて登場すると、子どもたちの視線を一身に集めた。オリジナルキャラクター「かまく〜らん君」が、鎌倉で起こった過去の震災を紹介しながら防災の大切さを語る紙芝居を熱演。「素直な反応が見られて良かった」と笑顔で話す。プロの紙芝居師として活動を始めて今年で5年目。その軽快な語り口で全国を回っている。
○…石川県出身。大学卒業後はマスコミを志し、NHK金沢放送局にアナウンサーとして就職。番組のコーナーで紙芝居を披露することになり、元々得意だったイラストを駆使して毎週作品を制作していた。次第に視聴者から「毎回楽しみ」と感想が寄せられるように。「入局直後は失敗ばかり。自信を取り戻せたのは紙芝居のおかげ」と振り返る。3年を経て退社し、東京でフリーアナウンサーとして活動を始めた。
○…上京して数年後、インターネットで紙芝居師の求人を見付け、すぐさま応募。紙芝居師事務所に所属し、2009年からプロとして様々なイベントに出演している。作品は全てオリジナルで、仕上げるのに1カ月を要することも。上演は常に全身で演技をしながら全力で。「子どもはつまらなければ興味をなくすし不満を言う。ごまかしが効かないからこそ、毎回戦場に赴く気持ちで臨んでいます」と声に熱がこもる。
○…3・11直後から被災地支援へ。そこで鎌倉のボランティア団体と出会った縁から昨年鎌倉に移住し、地域に根差した「ご当地紙芝居師」と名乗っている。市内の祭に出演すると「楽しそうだから私もやりたい」という子どもが続出。時間があれば体験してもらい、中には「弟子認定」された子も。「子どもの発想は独創的で面白い。親御さんから『歳を重ねたなっちゃんが弟子の上演を見守る将来が見える』って言われたのがうれしかった」と笑った。