50周年を迎えた鎌倉合唱連盟の理事長 児島 百代さん 台在住 82歳
音楽への情熱伝え続ける
○…鎌倉合唱連盟は13日、創立50周年を記念する演奏会を鎌倉芸術館で開催する。同連盟に加盟するのは地域や職場、学校の同窓生などで結成された52団体。「これだけ多くの団体が活発な活動を続けているのは、音楽や芸術に関心の高い人が多い鎌倉ならでは。この伝統を大切にしていきたい」と柔和な笑みを浮かべる。
○…東京都出身。東京藝術大学声楽科を卒業後、北鎌倉女子学園の教諭となった。同校で合唱を指導するうちに、豊かな才能の持ち主に何人も出会い「放っておけなくなってしまった」。30歳の時、ついに音楽教育を行う新学科の創設を上司に直談判し認められた。以降は講師の選任から校舎の設計まで、学科運営のあらゆる面に携わった。免許を取り中古の小型車を買って、自ら県内各地の小学校を巡って勧誘を続けた。「大変でしたけれど、夢があったから充実していました」と笑う。２年後、わずか数人でスタートした同校音楽科は、今や多くのプロ演奏家を輩出する名門として知られるようになった。
○…学校外でもグロリア少年合唱団など、様々な場所で指導に携わってきた。合唱連盟の理事長になったのは15年ほど前。創立から30年以上にわたって発展に尽力してきた蓑田良子さんに頼まれ「自信はなかったけれど、人が喜んでくれる間は役に立ちたい」とバトンを受け取った。
○…日本人巡査がロシア皇太子を切りつけた大津事件で「司法の独立を守った」と評される児島惟謙の孫に当たる。「祖父も後進の法律家を育てる学校の設立に携わったそうです。人を育て何か新しいことを始めることが好きな家系なのかも」といたずらっぽく笑う。音楽教育に捧げた人生を「生徒たちの成長を、間近で見守れることが一番の喜びだった」と静かに振り返る。演奏家だけでなく指導者となった教え子も多い。伝えてきた音楽への情熱は次代にも引き継がれるはずだ。
