60周年を迎えた鎌倉盆栽同好会の事務局長を務める 石原 新一さん 二階堂在住 71歳
「趣味」で人生を彩る
○…今年で60周年を迎える鎌倉盆栽同好会。その事務局長として、9月22日からの県立フラワーセンター大船植物園での展示と10月24日からの鶴岡八幡宮での奉納盆栽展の準備に奔走している。どちらも、約30人の会員が丹精こめて育て上げた40鉢が一堂に揃う。「世話を続けていると愛着が湧いてきてね。多くの人に見て楽しんでもらえれば」と穏やかに話す。
○…大船生まれ。生後間もなく父親が出征し、レイテ島で戦死した。高校卒業後就職するも、21歳のとき急逝した伯父にかわって石原電気商会に入り、以後50年にわたって社長を務めてきた。「先代が亡くなってからの就任だったから、独学で必死に勉強して技術を積み上げていったよ」と振り返る。同社では市内の名だたる寺社の電気工事を請け負ってきた。「あそこのお寺さんもそこのお宮も全部うちがやってきたんだ」と満足げに語る。事務所には依頼主から贈られた感謝状など、90枚以上がずらりと並んでいる。
○…32年前、祖父が他界した際に、20鉢近い盆栽が残された。「少年時代から畑いじりが好きだったから」と一手に引き受けた。祖父も会員だった同好会に入会し、15年前から事務局を担当。定期的に自宅で盆栽講習会を開催するなど、仲間との交友を深めている。「元々趣味が多かったけれど、盆栽もやりはじめたらさらに仲間が増えたんだよ」と快活に笑う。
○…「お金をかけるだけじゃなく、自分から動いていくのを趣味というんだ」と豪語する。アマチュア無線機を一から手作りし、洋蘭や50種類に及ぶ野菜を育て、はちみつ作りに精を出す。少しでも休みがあれば海外旅行へ出かける。奉仕活動にも力を入れており、所属するロータリークラブでは5年前に会長を務めている。「仕事も趣味も好きなことだから全然疲れない。何もしない時間なんてもったいないだろう」と白い歯をみせた。