経済的な理由などで女性が生理用品の購入が困難となる「生理の貧困」が、コロナ禍で顕在化する中、横浜市は8月30日から、市役所で民間企業と連携した生理用品の無料提供サービスを始めた。また、防災備蓄品を活用して配布するなど支援を進めている。
生理の貧困は、今年3月に任意団体「#みんなの生理」が「過去1年で国内の若者の5人に1人が金銭的理由で生理用品を買うのに苦労した」という調査結果を発表し、注目された。
そのような社会情勢を踏まえ、横浜市ではウェルネス事業を手掛けるオイテル(株)と協力。8月30日に市役所1・2階の多機能トイレ3カ所に「OiTr(オイテル)」という生理用品配布の専用機器を設置した。
オイテルは、アプリをダウンロードし、機器にかざすことでナプキン1枚が取り出せる。ディスプレイに流れる広告収入により、継続的に無償配布を実現できる仕組みだ。市役所以外にも市内では男女共同参画センター横浜北=あざみ野=への設置が9月末を予定するほか、横浜市立大学にも設置が決まっている。また、横浜駅東口地下街ポルタなどでも設置の準備が進んでいる。
そして、オイテルの設置とは別の支援策として、防災備蓄品1600パックの更新にあわせ、市内3カ所の男女共同参画センターでの無償配布や、市・区社会福祉協議会の相談窓口などでも活用している。あざみ野の同センターでも配布が行われており、残り僅かになっているという。市は市立学校でも防災備蓄品の活用を図り、ニーズを把握したいとしている。
設置場所拡大へ
同センターを運営する(公財)横浜市男女共同参画推進協会の植野ルナさんは「前提として女性は依然、非正規雇用の割合が高い。コロナ禍、接客業の不況で解雇や減収に陥るなど、貧困が顕在化している」と分析する。その上で生理に関しては「表に出しづらいこととされている側面もある」と指摘した。
市の担当者は「女性にとって生理用品は必需品。トイレットペーパーのように当たり前に常備されるようになれば」と話す。オイテルについては導入場所にネット回線があるといった設置条件などが多少の障壁となる点を説明しながらも、「今後、駅や商業施設、コンビニなど、利用頻度の高いと考えられるところに設置を広げていきたい」としている。
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