コラム「学校と社会をつなぎ直す」㉚ 普段の活動から立ち上がる未来 桐蔭学園理事長 溝上慎一
学校で、中学生・高校生・大学生に「将来何がしたいか」「どんな仕事がしたいか」を考えさせるキャリア教育が始まって20年ちょっとになる。終身雇用や年功序列といった「日本型雇用」が衰退し、これだけ離転職や若者の起業が増えている現代社会である。これに、世界最速で進む日本の人生100年時代が追い打ちをかける。定年を迎えても、多くの人はそこからまだ30〜40年生きなければならない。人生をどう生きるかという自らのキャリア形成から、もはや人々は逃げられないところまで来ている。
桐蔭横浜大学の大学生に、言葉と思考力の向上を目的として「ノート作り」を指導し始めて1年が経つ。1日の活動の中で気付いたこと、考えたことを毎日ノートに書いていく。興味深いことに普段「将来何がしたいか分からない」と言っている学生たちの多くが、実はノートに、しっかりと自身のこれからしたいこと、すべきことを書いているのである。「将来何がしたいですか」と大上段に振りかざして尋ねられては答えられないのに、自身の活動からはしっかり未来が立ち上がっているのである。
毎日いかに活動し、外化し、自身で気付くか。そんなに大げさに考えなくても、これでいいのではないか。「こう生きたい」「こうしたい」が謳歌できる人生100年時代の長寿社会を楽しんで生きていきたいものだ。
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