別所在住の木工塗装工・大沢尚(ひさし)さん(78歳)が11月14日、卓越した技能を持つ第一人者として厚生労働相から「現代の名工」の表彰を受けた。これまで宮内庁などから家具塗装の仕事を請け負ってきた大沢さん。全国で150人しか選ばれない栄誉に本人だけではなく周囲も喜んでいる。
「現代の名工」は技能者の地位や技能水準の向上を目的に1967年から始まり、これまでに全国の約5300人が表彰されている。
大沢さんは県の推薦を受けての表彰となった。「今まで当たり前にやってきたことだから」と謙遜するが、職人仲間からは祝福の電話などが相次いでいるという。
テーブルやたんすなどの家具の木工塗装に携わって約60年。高校卒業後に百貨店・三越直営の家具工場に勤務し、家具の塗装を手掛けてきた。定年後に独立開業。2002年に県から「神奈川の名工」に選ばれ、03年には横浜市から優れた技能者として「横浜マイスター」に認定されている。
家具に重厚感
木目の美しさを最大限に活かし、家具に重厚感を持たせる塗装を得意にする。依頼者との打ち合わせで色を決めた後、家具表面の汚れを落とし、サンドペーパーで滑らかにする。「この作業を疎かにすると、色を塗った後に下地の悪さが目立ってしまう」というほど大切なもの。続いて、黒、赤、黄の3色の塗料を混ぜて色を作り、下塗り、中塗り、上塗りと重ねていく。「スムーズに出せた色はきれいに表現される。色出しには自信がある」と胸を張る。仕上がりまでは2、3日かかることが多い。
これまでに宮内庁の「松の間」や最高裁判所大法廷の法卓の塗装も手掛け、最近では京王プラザホテルや帝国ホテルの仕事も多く、全国から依頼がある。
娘が後継者
娘の結花さんが後継者として一緒に仕事をしている。結花さんのチェックにより、塗り直すこともあり「感謝している」と話す。
「自分をあてにしてくれる人に応えたい」と今後も「誠実は人生の宝なり」をモットーに仕事を続ける。
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