▼台風18号の大雨で、中区と緑区で崖崩れが起き、2人が死亡した。市内で風水害の犠牲者が出たのは32年ぶり。避難勧告が出ていない地域で死者が出たことを受け、市は危険度が高い203カ所の崖地を指定。対象地域へ迅速に避難勧告を発令する仕組みに改めた。これは、台風19号を前にした緊急措置で、結果的にこの方法による勧告はなかったが、一段階前の避難準備情報が出された。
▼避難準備情報を伝えるため、地域に一斉に届く「エリアメール」を使ったことから、市のホームページに情報を求めるアクセスが殺到。閲覧しづらい状況が続いたことを市は反省すべきだ。しかし、対象崖地周辺の住民へ事前にチラシを戸別配布するなど、短時間で情報を伝えるべく、人海戦術で対応した点は評価したい。今回は初めての措置で混乱も多かったが、市は教訓を踏まえ、より良い方法を検討せねばならない。
▼市民にとって死者が出た今回の台風は、崖崩れという危険が身近に潜んでいることを改めて知る機会となった。東日本大震災以降、行政や市民は、地震や津波への対応を迫られていたが、今後は崖崩れから逃れる方法も考える必要がある。まず市民は、区が作る防災マップなどを活用し、自分の住む家がどのような地形、場所にあるかを確認し、地震、火災、台風、大雨などの際にどんな危険があるかを想像することから始めたい。それが「自助」への第一歩となるだろう。
▼南区は急傾斜地や木造住宅密集地域など、場所によって講じるべき防災・減災行動が大きく異なる。各地で行う防災訓練は、この点を意識した内容にする必要がある。また、自治会・町内会、連合町内会、地域防災拠点などの各組織の訓練内容が重複していたり、形式的になっていないか、住民の立場で点検したい。9月、中村地区の3つの地域防災拠点で同日に訓練が行われた。同日実施は区内初の試みで、拠点間の通信訓練など、実践的な内容だった。区はこのような取り組みを各地に紹介し、地域の実情に応じた訓練内容や減災行動を推進する役割が求められる。市民は今回の台風災害を契機に、行政から出される情報を把握しながら、身の回りの災害に対する具体的な防災行動をとっていかねばならない。
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