大規模災害発生時に被害状況を把握しやすくしようと、南消防署はこのほど、建物の屋上から情報収集を行えるようにする覚書を病院など区内4事業所と締結した。大地震で火災の延焼や津波が懸念される区東部を中心に見渡せるようにし、多くの情報を集めることで、消火、救助活動に役立てる方針だ。
大規模災害発生時は通信手段、ライフラインの途絶、道路の寸断などで被害規模全体の把握が困難になることが予想される。南区全体に及ぶ災害が起きた際、消防が被害の全体像をつかむために高い場所から区内を見渡そうとしても、消防署屋上や高台にある清水ヶ丘公園などからしか把握できなかった。マンションなどの高層建物が増えたこともあり、状況をつかめる高い場所が必要になった。
そこで南消防署は、関東学院中学高校(三春台)、県立こども医療センター(六ツ川)、南図書館(弘明寺町)、市大附属総合医療センター(浦舟町)の4事業所と緊急時に施設屋上を情報収集場所として使用できるようにする覚書を締結した。
震度5強以上の地震発生時や東京湾内に津波警報が出た際などに消防職員が事業所へ二輪車で向かい、屋上から状況を把握する。そこで得た情報は災害対策本部に伝える。また、建物の屋上は電波が伝わりやすく、無線中継が確実にできるという利点もある。
区内6割カバー
4事業所を選んだ理由を南消防署は「火災が懸念される木造密集地域や津波避難対象区域などを見渡すことができるため」と説明。こども医療センターは海抜65m、関東学院は40mにある。天候にもよるが、4事業所から区内約6割の地域が見渡せるという。同様の覚書は市内では西区、中区でも結ばれており、屋上同士の情報交換も想定する。
消防署は今後、4事業所の屋上を使った訓練を行う予定。南消防署は「事業所を増やすことも検討したい」という。
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