心臓の難病を抱える井土ヶ谷上町の会社員・森川孝樹さんの長女・陽茉莉(ひまり)ちゃん(1歳6カ月)が米国で心臓移植手術を受けられるように、両親や支援者らが募金活動を行っている。手術には約2億9500万円が必要で、6月末から毎週末、駅頭で支援を募っている。孝樹さんは「家族で一緒に暮らしたい。力を貸してほしい」と娘の命を守るために訴えている。
10万人に1人
陽茉莉ちゃんは2015年1月に生まれた。3月、突然呼吸困難を起こし、「拡張型心筋症」と診断された。この病気は、心臓の筋肉が広がって薄くなり、血液を送ることができず、呼吸困難になるなどの恐れがある難病。10万人に1人の割合で発症するとも言われる。父親の孝樹さんは病名を聞いた時「どんな形でも良いから生きていてほしい」と思ったという。
発症から約8カ月間は人工呼吸器を付け、投薬治療で心臓機能の回復を試みた。しかし、11月に症状が悪化。横浜市内の病院からより専門的な治療ができる東京大学医学部附属病院に移った。そこで小児用の補助人工心臓を取り付ける手術を行ったことで、食事制限などがなくなった。孝樹さんは「自由に抱っこできるなど、陽茉莉が初めて人間らしい生活を送れるようになった」と話す。
孝樹さんによると、補助人工心臓の装着期限は「基本的に1年間」という。これまでに1年以上装着している例もあるが、合併症が起こる確率が4割というデータもあり、長期間の装着は難しい。主治医からは「1〜2年が限界」と伝えられており、心臓移植手術を決意した。ただ、国内で小児への移植手術は臓器提供者が極端に少なく、いつ手術を受けられるか分からない。3月、同病院の主治医と関係の深い、米国・コロンビア大学病院で移植手術をすることを決意した。
約3億円必要
手術費用は渡航費などを含めて約2億9500万円。孝樹さんの会社の同僚や陽茉莉ちゃんの母・佳菜子さんの知人らによって「ひまりちゃんを救う会」が結成され、6月下旬から関内駅や横浜駅などの駅頭で募金活動を始めた。両親は、渡航移植を経験したり、準備をしている子の両親らとも連絡を取り、アドバイスを受ける。重い心臓病を患い、陽茉莉ちゃんと同じ東大病院に入院していた大和市の迫原大輝ちゃんがコロンビア大病院での手術が決まり、7月12日に渡米したことも支えになっている。
陽茉莉ちゃんは週1回、30分の外出ができるまでになった。しかし、日によって体調が優れない時もあるという。孝樹さんは「一日でも早く手術を受けさせてあげたい。これからも家族一緒に暮らしたい」と願う。
今後も週末を中心に募金活動を行う予定。問い合わせは「救う会」事務局【電話】080・7967・0925。
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