井土ヶ谷上町第一町内会(佐々木哲夫会長)が所有する町内会館=井土ヶ谷上町35の23=がこのほど、横浜市の歴史的建造物に認定された。会館は戦前から「見番(けんばん)」と呼ばれる芸妓(げいぎ)の事務所兼稽古場だった建物。市内に現存する唯一の見番だった会館は今後、正面外観を復元する予定で、見番の雰囲気がよみがえる。
会館の建物は1937年建築の木造2階建て。建築当時、井土ヶ谷は花街で、多くの芸妓がおり、建物は芸妓組合の事務所兼稽古場だった。58年から県警の警察官寮として使われ、76年に同町内会が取得。その後改修し、町内会館にした。現在は会議などのほか、井土ヶ谷地区の子育てサロンとして親子が利用している。
市は個性的、魅力的な歴史的景観を保全するために、近代建築、古民家などを「認定歴史的建造物」として認定している。これまでに93件を認定。町内会会館の認定は初。南区内では関東学院中学校=三春台=(1991年度認定)、大原隧道=清水ヶ丘〜南太田=(2000年度認定)、浦舟水道橋=浦舟町〜中村町=(同)、霞橋=西区霞ヶ丘〜三春台=(04年度)が認定を受けている。同会館は15年に認定建造物の前段階となる登録建造物になっていた。
建築当初の雰囲気に
建物の正面は入母屋(いりもや)造と呼ばれる伝統的な構造。玄関の上部の欄間が細かい組子になっている。現在は外壁が金属製のトタン板だが、来年度、防災性に配慮した上で「下見板張り」と呼ばれる板を少しずつ重ねた建築当時の外壁に復元する工事を行う。市は見番の建造物がよみがえる希少性を重視し、認定した。認定を受けたことにより、市から改修費用の一部助成を受けることができる。
同町内会の佐々木会長は「会館を通して歴史を知ってもらい、愛される場所として多くの人に使ってほしい」と語った。
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