▼横浜市は二重行政の解消などを目的に、県から独立し、国の事務以外をまとめて行う「特別自治市」への移行を目指している。11月10日には、特別自治市の仕組みや利点を市民に説明するフォーラムをみなみん(南公会堂)で開き、林文子市長が講演して理解を求めた。この中で二重行政の具体例として、幼稚園と保育園の所管が県と市に分かれている件などを取り上げていた。市は多くの市民にとって耳慣れない「特別自治市」の利点に加え、課題も示し続け、まずは議論できる環境を作らねばならない。
▼特別自治市には、住民自治機能の強化という側面もある。現在は市の専門部署である「局」が持つ事務権限を区役所に移譲し、それに伴って区が使える予算を拡充することを想定。区長の権限が大きくなることから、市長が任命している現在の方法から、議会の同意を得て選任される仕組みに変えることも視野に入れる。また、区民が区政・市政に参画したり、チェックできる制度づくりも求められる。先のフォーラムでは、住民自治に関する話は比較的少なかったが、区民に直接関係する問題だけに、説明をより丁寧にしてほしい。
▼特別自治市の実現には、地方自治法の改正という大きなハードルがある。フォーラムで小林一美副市長が「細郷市長(1978年〜90年在任)のころから取り組んでいる」と述べたように、長年の懸案だ。林市長は国の地方制度調査会の委員として大都市制度の議論に参加したり、毎年、自ら霞が関に足を運んで菅義偉官房長官や大臣に提案・要望を行っている。
▼法改正には、市民の関心を集め、機運を高めることが必要だ。特別自治市と中身が大きく異なるが、大阪市の橋下徹市長(当時)が掲げた「大阪都構想」は市長の行動力が国会を動かし、2015年に賛否を問う住民投票に漕ぎつけた。林市長は3期目に入り、来年には在任10年を迎える。大都市制度に関し、市民としっかりとした議論ができる環境づくりに取り組むことと法改正へ向けた強い意欲を内外に示し、行動を続けてほしい。
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