花之木町の旧南区総合庁舎跡地の公募売却に大手の流通や建設関係企業など、複数の事業者が応募していることが分かった。応募は6月末まで行われ、市が審査中。8月中に事業者が決定するが、大手流通グループは、跡地内に作ることが義務付けられている地域交流施設に関し、公募期間前に地元の町内会長らに要望や意見を聞いていたことも明らかになった。
跡地は、約4400平方メートル。市は民間事業者の提案を参考にする「サウンディング型市場調査」と呼ばれる手法を採用。不動産、小売業者の話を聞き、民間整備が可能と判断し、公募売却を決めた。3月に決まった売却価格は約11億5千万円。6月24日から28日まで応募を受け付けた。7月から8月に審査し、8月中に事業者が決定する予定だ。
区庁舎だったことを踏まえ、用途に医療や福祉、子育て支援機能を持つことが条件とされ、地域活動の拠点となる交流施設(200平方メートル以上)や倉庫などの防災施設も設ける。住宅などの居住機能を持った施設は認められない。
住民に要望聞く
跡地そばの蒔田地区の住民の話によると、6月上旬、流通大手グループ企業の開発担当者が「地域住民の意見を聞きたい」と申し出て、町内会長ら数人が対応。交流施設に関して、意見や要望を聞いたという。事業者側は、施設利用の際の料金案を示したが、住民からは「近くの蒔田コミュニティハウスは無料で利用できる。有料では使わないのではないか」との意見が出た。また、設ける予定の福祉施設は同グループの福祉関係事業者が請け負う予定だという説明もあった。そのほかの施設の計画には詳細な言及はなかったという。
ある男性は「7月に入り、担当者から『無事に応募できた』と電話があった。地元のために努力する姿勢が感じられたので、この事業者なら歓迎したい」と話した。
本紙は企業側に応募の有無や内容などを問い合わせたが、期日までに回答はなかった。
市が示した審査配点によると、交流施設や防災施設の部分は100点満点中20点を占めており、計画に住民の意向を汲み取れるよう、聞き取りを行ったと思われる。
医療法人 公募前に計画配布
一方、この事業者とは別に、湘南地域に本部があり、南区内にもグループ企業を持つ医療法人が6月中旬、跡地そばの住民に対し、看護、介護のサービスが受けられる「看護小規模多機能型居宅介護施設」の開設計画を知らせる文書を跡地周辺住民宅に配布した。文書には施設概要とともに、大手建設会社の名前が入ったビル名の仮称も書かれていた。
市が注意
この中に跡地公募期間前であることは記されておらず、文書を受け取った男性は「跡地の利用が決まったのかと思った」と話した。文書の存在は区民から跡地売却を管轄する市財政局に伝えられた。本紙の取材に同局は「公募期間前にこのような文書を配るのは迷惑な話。順番が違う」と法人側に注意したという。法人側は「施設建設に近隣住民への説明は必要」としたが、注意を受けた後に再度、住民に説明し直した。説明を受けた人によると、この時は、ビル名にあった建設事業者の担当者も同席したという。
同局は応募事業者数などを公表していないが、「予定通り8月に事業者を決定する」としている。
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