横浜市は、65歳以上の市民を対象にした無料の「もの忘れ検診」(認知症の簡易検査)を1月から始めた。認知症を早期に発見し、対応を進めることを目的とした県内初の取り組み。3月31日まで行う予定で、全市で約900人の実施を見込んでいる。
もの忘れ検診は、認知症診断を受けたことがない65歳以上を対象にした事業で、南区内の5カ所を含む市内89カ所の医療機関で予約を行い、無料で受診できる。医療機関で問診を行い、認知症が疑われた場合は有料で専門医療機関の紹介を受けられる。
もの忘れ検診は名古屋市やさいたま市などで導入されており、県内では初の取り組みとなる。
高齢者2割認知症
団塊世代が後期高齢者となり、医療費など社会保障費の急増が懸念される2025年問題が間近に迫る。市内の65歳以上は2015年に約87万1千人おり、25年には96万6千人と約9万5千人増加する見通しだ。国の有病率調査を基にした市内の高齢者人口に対する認知症有病者数は、15年の約14万人に対し、25年には20万人に増え、高齢者の5人に1人が認知症になるとされる。
早期発見の契機に
市は、認知症患者やその家族に早期に関わる「認知症初期集中支援チーム」「認知症疾患医療センター」の設置、「認知症高齢者等SOSネットワーク」の構築などを進めており、もの忘れ検診を認知症対策として次年度以降も継続したい考え。市の担当者は「早期発見して医療や介護サービスを適切に使用することで、介護負担の軽減や症状の安定化、重度化を遅らせる可能性もある」と検診の重要性を話す。
横浜総合病院=青葉区=の臨床研究センター長で神経内科医の長田乾さん(日本認知症学会専門医・指導医)は、「高齢者の認知症は、生活習慣病の管理を含めた適切な治療、ケアにより進行を遅らせることができる」とし、「(もの忘れ検診による)早期発見が、専門医の診察を受ける機会につながることは大きな福音」と話している。
南区の対象機関は次の通り。▽佐藤病院=南太田=▽あずま医院=清水ヶ丘=▽北浜医院=別所=▽せきど脳神経外科クリニック=通町=▽村山クリニック=真金町=
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