南区内で、こども食堂や学習支援など、子どもの居場所を運営する団体の交流会が7月3日、フォーラム南太田で開かれ、コロナ禍での活動の苦労や工夫を話し合った。多くの団体が活動休止中だが、食料品を配布して活動を再開する取り組みも報告され、関心を示す団体が多かった。区も今後、各団体を通して食料品を配布する事業を行う予定だ。
コロナ禍、食堂休止相次ぐ
交流会は「南区子どもの居場所づくりネットワーク」が開いたもの。同ネットワークは2016年に設立され、南区社会福祉協議会と南区役所が事務局を務める。こども食堂や子どもの居場所を運営する団体が加盟し、年数回の交流会で情報交換を行う。
今年度初の交流会には居場所を運営する16団体から40人が参加。各団体は新型コロナウイルスの感染拡大前後の活動状況や今後の方針を語った。
障害者支援を行う中村町の地域活動ホーム「どんとこい・みなみ」は、月1回開いていたこども食堂を2月から休んだ。今後の開催の見通しも立たない中、食事に困っている人を支援しながら、これまでの人のつながりを維持しようと、6月20日に食料品の無料配布を行った。整理券を配布し、密集状態にならないよう配慮し、28人にインスタント食品や菓子をセットにしたものを配った。同施設の飯高正行さんは「感染防止策を講じながらの開催は難しいかと思ったが、やってみたら意外に簡単だった」と話し、「食堂の再開を心待ちにしている人が多いことも分かった」という。7月中の食堂再開を目指している。
購入弁当を安価販売
堀ノ内睦町地区の主婦らが17年に立ち上げた「わいわい食堂」は、月1回、睦地域ケアプラザを使い、食事を子どもへ提供し、大人も含めた交流の場を作っていた。3月に活動を停止したが、5月中旬から週1回程度、弁当販売を始めた。衛生面を考慮し、飲食店から購入した500円の弁当を200円で販売。当初は集客が伸びなかったが、子ども会の保護者にLINEを使って開催を周知してもらった結果、50人を集めるまでになったという。食堂再開について、中心メンバーの西村末子さんは「食べるだけでなく、一緒に遊ぶことも大切にしているので、室内ではなく、外での開催も考えたい」と語った。
工夫した活動が発表された一方、悩み続ける団体も多い。
フォーラム南太田を使い、2カ月に1回、食事を提供したり、遊びの場を開いていた「みなみ〜な食堂」は3月から休止が続く。メンバーの服部典子さんは「もし、何かあったらと思うと、一歩を踏み出すことができない」と苦しい胸の内を明かした。その上で「食品配布も考えたい」と他団体の活動を参考にしていくつもりだ。永田北の「算数・数学塾」は小中学生に勉強を教える場所。活動は続けているが、学校休校により、勉強よりも遊びが中心になった。運営団体「永田1087」の相原容子さんは「子どもがけがをした場合のことを考えて、保険加入の必要性を感じた」と新たな課題を発見したという。
区も事業で後押しへ
同ネットワークのアドバイザーで、こども食堂や青少年支援に取り組む「子どもの未来サポートオフィス」の米田佐知子さんは「実際に集まらずに、どうやって親子と関係を作っていくかが大切。食品を渡す『パントリー』と呼ばれる方法はその一つ」という。
南区役所は同ネットワークから要望を受け、食料品のセットを居場所を通じて配布する事業を計画している。現在、詳細を詰めており、区担当者は「居場所活動に参加していた子どもたちと再会したり、活動再開のきっかけにしてほしい」と話す。早ければ8月中にも希望団体が配布を開始する予定だ。
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