▼九州などに大きな被害を与えた台風10号は事前に気象庁が「最大級の警戒」を呼び掛けていたが、それでも家屋の倒壊や土砂崩れなどが発生した。自然災害の中では予測しやすい台風でさえ、被害はなくせない。事前の備えは可能な限り尽くしたい。
▼事前の備えの一つと言えるのが、地域などで行われる防災訓練だ。しかし、今年はコロナ禍で今までのような訓練が行えない。9月6日にあった中村地区の3つの地域防災拠点の訓練は参加者を拠点の開設・運営に関係するメンバーに絞り、市が定めたコロナ対応用の運営法の説明を聞いたり、備蓄庫を確認するなどの内容にとどめた。
▼大地震などで自宅が倒壊し、生活が難しい人が身を寄せる地域防災拠点だが、開設・運営は町内会役員らの運営委員会に任されており、拠点の役割を含め、多くの住民に拠点での生活がイメージされているとは言い難い。加えて、拠点となる体育館で密集を避けるなどのコロナ対応をした上で運営することは、相当困難と思われる。発災直後の混乱にコロナへの不安が重なれば、安全であるべき拠点の役割を果たせない可能性がある。まずは、地域防災拠点は自宅での生活が難しい人の避難所であることを認識し、被災後も自宅で生活できるよう、耐震工事や家具転倒防止の対策を取る「減災」の意識を持ちたい。仮に自宅での生活が困難でも、親戚や知人の家で暮らす可能性も考えておきたい。
▼コロナを契機に防災訓練のあり方も見直すべきだろう。地域防災拠点は被災後の生活の場だが、訓練の中で消火器の使い方や火災の煙体験を行っていた地域もあった。これらは町内会などの小単位の訓練に任せ、拠点の訓練は開設・運営に特化したものにしてはどうか。いずれの訓練も密を避ける必要がある。防災の知識を共有したり、安否確認を目的にしたインターネットによる訓練も検討する必要がある。市や区は地域の状況や起こり得る災害の種類に合わせ、効果的な訓練ができるよう、きめ細かな対応をしてほしい。
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