中村地区の中村小、石川小、平楽中の3地域防災拠点の訓練が9月6日、同時に行われた。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぎながら、どのように拠点を運営するかについて、市のマニュアルを確認する作業を進めた。拠点の訓練はこれまで、多くの参加者を集めて開いていたが、感染予防の観点から拠点の開設・運営にあたる町内会役員らに対象を絞って行うケースがほとんどで、コロナに対応した拠点運営方法が住民にどれだけ伝わるか懸念する声も出ている。
運営法 周知不足の懸念
地域防災拠点は、震災による家屋倒壊などで、自宅での生活が困難な時に避難生活をする場所。南区内は小中学校25カ所が地域ごとに指定されている。各拠点では年1回、地域住民による運営委員会が中心になって訓練を行う。
中村地区にある3つの拠点は、連携強化を目的に2014年から同時に訓練を実施している。例年は各拠点の対象住民に呼び掛け、避難者の受け入れや仮設トイレの設置訓練などを行っていた。今回は感染予防のため、参加者を拠点の開設・運営に携わる運営委員会のメンバーらに限った。
受入場所を拡大も
平楽中学校地域防災拠点には約30人が集まった。区職員が今年6月に市が定めた「新型コロナウイルス感染症を踏まえた地域防災拠点の開設・運営のポイント」を紹介。この中には、拠点に来る避難者の検温や発熱者が出た場合は、その人や濃厚接触者を専用スペースに移すことなどの対応策が記されている。
ポイントに沿って、感染の可能性がある人を専用スペースに移したり、避難者同士の距離を保とうとすると、これまで想定していた体育館だけでは避難者を収容しきれない可能性が高い。ポイントにも「これまでの調整で確保しているスペースの他に受入れ可能なスペースの確保に努める」とされている。平楽中の拠点運営委員会は、今後、避難者の受け入れ場所の拡大が可能か同校と協議していく。
市は感染症対策として、各拠点に体温計やマスク、消毒液などを備蓄するようにしている。中村小の訓練では、参加者が防災備蓄庫にある感染症対策物品を確認した。
考える契機に
地域防災拠点の訓練は秋から冬にかけて多く行われるが、コロナ禍で規模を縮小するところがほとんど。中村地区のように関係者に絞って、備蓄品の確認などにとどめる予定のところが多い。拠点の運営委員長を務める男性は「訓練は住民に防災について考えてもらう数少ない機会」と話し、訓練の参加者が限定されると、拠点の運営方法についての理解が広まらないことを懸念する。
コロナを踏まえた拠点の開設・運営は今まで以上に注意点が多い。市が定めた「ポイント」にも「発災直後は混乱しており、すべてに対応することは難しい場合もある」とされており「できる範囲から取組みを進めましょう」という。
「地域に伝えて」
区は訓練の参加者に「拠点の運営方法やコロナを踏まえたポイントについて、地域に戻って多くの方へ伝えてほしい」と呼び掛けている。
中村地区3拠点の訓練では防災無線を使った通信訓練を行った。同地区連合町内会の吉井肇会長は「今後も3拠点で連携し、コロナ対策も踏まえた拠点運営を考えていきたい」としている。
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