本紙は南区の松山弘子区長にインタビューを行い、2020年の振り返りと今後の事業について聞いた。新型コロナウイルスによって区政運営の難しさを感じつつも、地域活動再開や経済活動の支援などを進める意向を示した。その上で、行事などを通した住民交流が限られる中、さまざまな方法で顔の見える関係づくりを図り、コロナ禍の困難を区民とともに乗り越えたいとした。(聞き手/本紙編集長・門馬康二)
行事中止は苦渋の決断
――新型コロナウイルス感染症への対応に追われ続けた2020年でしたが、区政を全体的に振り返っての感想を教えてください。
「感染症から区民の皆さまの健康、安全、安心を守るために、『桜まつり』や『南まつり』などの行事を苦渋の決断の上、中止にしました。19年4月の区長就任時から”顔の見える関係”や”区民に寄り添った区政”を意識する中、こうした南区ならではのイベントが開催できなかったことは残念です。その中でも区役所の窓口業務など、やらなければいけないことも当然あり、バランスの難しさを感じた一年でした」
活動再開のヒント共有
――コロナ禍で多くの地域活動が止まってしまいました。
「地域行事が中止になる中、立ち止まって課題を再認識し、次へ向けて動き出そうと、9月に16連合町内会を4エリアに分け、町内会長らが活動再開へ向けた意見交換を行う『みなミ〜ティング』を開きました。皆さんが活動の不安を感じる中、ほかの地区、人の話も聞いてみたいという思いも感じました。活動再開へ向けたヒントが多く出され、『工夫すれば行事ができる』と実践に移した地区もありました」
――「新しい生活様式」の中で地域活動も変わりつつあります。
「皆さんがICT(情報通信技術)を活用した地域活動の支援を求めていると実感しました。区ではタブレット端末を10台購入し、10月から地域活動にビデオ会議などを取り入れてもらうための講習会を始めました。コロナ禍だからこそ、そこから生まれる新しい考え方を進めていきたいです。この状況でも活動を続けている地域や団体をキャッチし、それを応援していきます」
子どもの居場所支援
――コロナ禍で困難を抱える人への支援が急務です。
「子どもを支援する『こども食堂』の多くが活動休止を余儀なくされました。子どもの居場所の活動再開を支援するために、居場所の運営団体から家庭へ食品を手渡しする『南区げんきごはんプロジェクト』を8月下旬から10月にかけて行いました。今年1月から2月にも第2回を予定しています。商店街の集客につなげてもらおうと、商店街オリジナルのエコバッグを配布しました。今後は事業者と相談機関のつなぎ役としての取り組みも進めます」
――区役所、職員の仕事も大きく変わったのではないでしょうか。
「一時は交代制のリモート勤務で対応しました。これまでにない仕事が増えた中でも職員は使命感を持って頑張ってくれていると思います」
区庁舎ライトアップ
――残り3カ月となった今年度の取り組みは。
「まずは感染者を急増させないようにすることです。感染の可能性が誰にでもあることを自覚し、手洗いやマスク着用などの基本対策の徹底を引き続き呼び掛けていきます。医療従事者の方や社会活動の維持に携わる方へ向けて、区庁舎のブルーライトアップを2月中旬に予定しています。また、東京2020オリンピックの開幕半年前となる1月23日からの1週間とパラリンピック開幕半年前となる2月23日から1週間、それぞれのカラーのライトアップを行います」
――そのほかの取り組みは。
「マイナンバーカードの交付をスムーズにするため、予約制の人数を段階的に増やしてきました。1月からはこれまでの1日150人から210人に増やすなど、体制を強化します。また、マイナンバーカードは横浜駅西口の臨時申請窓口でも手続きが可能です」
五輪への機運高める
――先行きが見通しづらい状況ですが、来年度の取り組みの構想を教えてください。
「東京2020大会へ向けて、パブリックビューイングや競技体験会などを通して機運を高めていきます。また、今年度は開催できなかった『つながり清掃ウォーク』も行いたいです。南区で多発する特殊詐欺を防ぐために昨年11月から迷惑電話防止機能の付いた電話機の貸し出しを始めましたが、来年度も促進していきます」
心の触れ合いを
――南区民へのメッセージを。
「地域のつながりや顔の見える関係を大切にすることは、南区の区民性を表わしていると感じます。コロナ禍で今まで脈々と築かれてきた地域の絆の大切さも感じます。改めて地域の皆さまと区役所、地域の皆さま同士が顔を合わせなくても心が触れ合えるような関係を大切にしたいと思っています。つながりと『共感と信頼』を大事にして区政運営を進めていきますので、今年もよろしくお願いします」
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