横浜市による本格的な新型コロナウイルスのワクチン接種が5月17日に始まった。市内19カ所に設けられた会場に集まって実施する「集団接種」がスタート。最初の供給分を6月7日までに約7万6千人へ接種する。17日には、病院や診療所で行う「個別接種」の実施医療機関が発表され、公表可能な約600カ所が明らかになった。すでに予約が受け付けられ、24日以降に接種が始まる。
17日から始まった集団接種は、各区に1カ所(中区は2カ所)設けられた「主会場」と呼ばれる公会堂やスポーツセンターなどで行うもの。南区は南公会堂が会場。
高齢者施設などの入居者への接種は4月に始まっていたが、今回はそれ以外の高齢者が対象。
最初に接種券が発送された80歳以上の中から予約初日の5月3日と5日に受け付けられた約7万6千人が6月7日までに接種を受ける。大半の主会場は水、木、土、日曜日の午前9時45分から午後3時30分に行う。南公会堂も同曜日、時間帯。
居住区以外の会場でも接種可能。戸塚区に住む80代の女性は5月下旬に南公会堂で接種を行う予約ができた。しかし、今まで公会堂を訪れたことがなかったため、「当日、迷って時間に遅れたら大変」と13日に「下見」を行った。「東戸塚の家からのバスの乗り方も把握できたので良かった」と話した。
「変異株が不安」
17日は青葉公会堂・青葉スポーツセンターで接種が行われ、報道陣に公開された。
この日は午後1時15分から3時30分の間に接種する225人分の予約を受けていた。接種を受けた80歳の女性は変異株が広がっていることを不安に思い、早めに接種したいといち早く予約した。接種後「痛いと思ったけど、大丈夫だった」と感想を語った。女性は受付から接種まで1時間以上かかったという。
南公会堂は19日に接種を開始。接種を受ける人は入口で受付を行い、通常のステージ上に設けられた予診ブースへ移る。そこでは、医師が問診し、接種後の経過観察時間(15分か30分)を伝えられる。ステージ脇を通り、固定客席とステージの間にある接種ブースへ進む。接種後は、客席に座り、問診時に伝えられた観察時間を過ごす。体調に変化がなければ、そのまま終了となる。
会場で薬剤師が準備
南公会堂の接種ブース横には、ワクチンを薄めて接種できる状態にするため、薬剤師が常駐し、使用する分のワクチンを用意する。ワクチンを解凍し、薄めた後は6時間以内に使用することが定められている。そのため、接種当日の急なキャンセルなどでワクチンが無駄にならないよう、その日の状況に応じて薄める作業を行っている。
作業に協力する南区薬剤師会(肥後保仁会長)は接種開始を控えた15日、フォーラム南太田で研修会を開いた。会員約70人が参加。市大センター病院の薬剤師らが講師となり、薄める作業の手順を学んだ。
肥後会長は「本番は緊張感が漂う中での作業になる。平常心で取り組み、地域の薬局や病院とも連携してコロナ禍を乗り切りたい」と話した。
17日からは7月5日〜11日の約2万9千回分に加え、当初の19カ所とは別に集団接種を行う「その他会場」分の約5万3千回分の予約を受け付けた。この会場では、6月7日以降に接種を始める。南区のその他会場は南スポーツセンターで、日曜日の午前9時45分〜午後3時30分と水、木、土曜日の午後1時15分〜3時30分に接種を行う。
個別接種も予約開始
これとは別に、17日から地域の病院や診療所で行う「個別接種」のうち、11カ所の医療機関での接種予約が始まった。この11カ所は横浜市の予約センターを通してのみ受け付ける。24日以降はこれに25カ所の医療機関が加わる。11カ所は24日から接種を始める。
12日に計36カ所が発表されると、市の予約センターを通してしか予約できないにもかかわらず、医療機関に予約を求める電話が殺到した。ある病院は「1日で100件以上の電話が来た」という。通常診療に支障が出ている病院もあり、市は「直接の問い合わせは控えて」と呼び掛ける。
さらに、17日には個別接種を行う医療機関で、直接予約を受け付ける公表可能な約600カ所が市のサイトで発表され、19日から予約が始まった。南区は20カ所が対象となっていた。このほかに、個別接種を行う非公表機関が約500カ所ある。600カ所を紹介した市による「ワクチンNEWS別冊」は区役所、地区センター、地域ケアプラザで配布中。
予約は接種券が届いた人から可能で、これまでに65歳以上の人への発送を終えた。問い合わせはコールセンター【電話】0120・045・070。
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