記者が見た、聞いた、感じた、を伝える あっとほーむデスク 9月9日0:00更新
昨年9月24日号の小欄から一部を引く。
「この数週間、菅義偉新首相の”素顔”に関する報道が新聞、テレビ、ラジオから洪水のように降ってきた。記者がいつも目にしている菅氏ゆかりの飲食店や人物がメディアを通して全国に知られるのは嬉しい反面、何か違和感を覚えた。人柄の良さが政治家に求められるのは分かる。しかし、最も大事なのは政策や実績のはず」
1年前の今ごろ、「パンケーキが好物」「熱いそばを3分で食べる」「早朝にスーツで散歩する」など、首相就任目前の菅氏の人物像を紹介する報道がテレビや新聞を埋めた。自戒の念を込めて言えば、そうした報道に何の意味があったのか。退陣表明があった後も菅氏の周囲や古くから知る人が「人柄の良さ」を語っていた。国民の多くはコロナ対策や今後の学校、経済活動など、自分たちの生活に密着することを首相の言葉で聞きたかったのではないか。
総裁選への不出馬を記者やカメラの前で数分間だけ説明し、立ち去る姿を見て、虚しさだけが強く残った。 (も)