経済的な理由などで生理用品の購入が困難となる「生理の貧困」が、コロナ禍で顕在化する中、横浜市内の施設で生理用品を無料配布したり、官民連携での無償提供などが進んでいる。今まで顕在化しづらかった問題に関係者は「必要な場所に生理用品が当たり前のように常備されれば」と話す。
生理の貧困は、3月に任意団体「#みんなの生理」が「国内の若者5人に1人が金銭的理由で生理用品を買うのに苦労した」という調査結果を発表して注目を集めた。
市は防災備蓄庫にあった生理用品1600パックを更新するのに合わせ、7月にフォーラム南太田を含む3カ所の男女共同参画センターで計100パックを無償配布した。フォーラム南太田では、女性用トイレに置いた20パックが4日でなくなったという。
ほかにも、市や区の社会福祉協議会が行う生活困窮者支援に関係する相談窓口で活用している。
8月30日から市役所の1、2階の多機能トイレ3カ所に「OiTr(オイテル)」という生理用品配布の専用機器を設置した。
アプリをダウンロードし、機器にかざすことでナプキン1枚が取り出せる。機器から流れる広告収入により、継続的な無償配布が実現できる仕組み。商業施設や公共施設などの個室トイレで生理用ナプキンを無料提供するサービスを行う「オイテル株式会社」と市が連携して実現したもの。
すでに、アートフォーラムあざみ野=青葉区=や横浜市立大学などに設置が決まっており、横浜駅東口地下街ポルタなどでも設置準備が進む。
市立学校では、以前から生理用品の貸与や無償提供などを行っている。市教育委員会は「養護教諭を中心に、児童生徒指導の専任教諭やスクールソーシャルワーカーなとど連携し、相談に適切に対応したい」という。
男女共同参画センターを運営する横浜市男女共同参画推進協会の植野ルナさんは「そもそも、女性は依然、非正規雇用の割合が高い。コロナ禍、接客業の不況で解雇や減収に陥るなど、貧困が顕在化している」と分析。その上で生理に関しては「表に出しづらいこととされている側面もある」と指摘した。
「常備が当たり前に」
市政策局男女共同参画推進課は「女性にとって生理用品は必需品。トイレットペーパーのように当たり前に常備されるようになれば」と話す。オイテルについては「導入場所にネット回線があるといった設置条件などが多少の障壁」としながらも、「今後、駅や商業施設、コンビニなど、利用頻度の高いと考えられるところに設置を広げていきたい」とした。
南区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|