南永田山王台地区の住民有志が2019年から進めてきた地区内27カ所の道に愛称を付ける取り組みが佳境を迎えている。同地区10町内会などの意見を交えて名付けた道のネームプレートと小学生が描いたイメージプレートの設置がほぼ完了。ふるさと意識の醸成や外から来た人の興味関心を引き出している。
迷子防止へ
同地区は井土ケ谷小学校の裏側から横浜国際高校付近までの範囲。主に平戸桜木道路から山側の地域で、国際高校側は道が碁盤の目のように縦横に走る。初めてまちを訪れる人が道に迷い、引っ越してきた住民からも慣れるのに苦労するとの声が出ていた。
そうした課題を解決しようと立ち上がったのが同地区連合町内会(岩田春男会長)の地域活性化を目指す住民有志で構成される「ふるさと創生の会」。これまで、地元産の竹を使った竹細工の製作、田植えや花壇の手入れを小学生などに教える活動を通し、まちを盛り上げてきた。
同会は南永田山王台と同じく、碁盤の目のように似たような景色が並ぶ港南区の自治会が数年前に行った、主要な道路に愛称を付ける取り組みに着目。19年、南区の補助金を活用し、3年計画で行う「道の愛称プロジェクト」が発足した。
意味ある名前に
まずはコアメンバーで愛称を付けた。その後は、住民アンケートや小学生が会議で話し合って出したアイデアを取り入れ、呼びやすくて親しみやすいものや歴史的に意味のあるものを選択。昨年末に27カ所の道の愛称が決まった。
永田地域ケアプラザと永田みなみ台公園こどもログハウスを結ぶ道は「ケアプラ坂」と決めたが、子どもが各施設の「ケ」と「ロ」を取って名付けた「ケロケロ坂」の愛称も採用するなど、27カ所中、2つの名前を持つ道が4カ所ある。
大正期に活動した陶芸家・井上良斎の登り窯がある永田東の道には「登り窯通り」と命名。同プロジェクトには、外から来た人に限らず、地元住民にもあまり知られていない地域の歴史を発信するという目的もある。
子どもに郷土愛
同プロジェクトは迷子の解消や防犯対策のほか、住民のふるさと意識を醸成する狙いがある。プロジェクトリーダーの堀木一男さん=人物風土記で紹介=は「新しく入居してきた人がまちに愛着を持つきっかけにしたかった」と話し、2代、3代と暮らす世帯が増えることが地域活性につながるという。
地域の未来を担う子どもに郷土愛を育んでもらおうと、地元の小中学校との連携を進める。道のネームプレートのイメージに合うイラストを描いたイメージプレート作りを永田台小、六つ川小、井土ケ谷小に、まちの全体像が分かる大型地図パネルを永田中と南中に依頼。今はほぼ完成し、今年度中に同プロジェクトが完結する。
堀木さんは「プロジェクトを一過性にしないことがこれからの課題。看板のメンテナンスや新たな企画を各町内会、学校などとともに考えたい」と話し、27カ所の道を巡るまち歩きイベントなどを検討している。
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