客船の料理人、新たな航海へ
県内に再び「まん延防止等重点措置」が出されるなど、新型コロナの影響は依然として続いている。この状況の中で店舗をオープンしたり、起業する人もいる。このコロナ下でなぜオープンを決めたのか。経営者らの思いを聞いていく。
横浜橋通商店街の近くに昨年11月24日に開店した食パン専門店「ハーバーベーカリー105」はプレーン、チーズ、クルミバターの3種類の長さ約35cmの「棒食パン」や、阿波和三盆糖を使用した高級食パンなどを提供する。添加物をなるべく使わないという体にやさしいパン作りがコンセプト。最近販売を始めたラスクの売れ行きも順調だ。
店主の内田孝治さん(50)は豪華客船「にっぽん丸」などのクルーズ船のレストランで約30年間、パンやデザート作りを任された。順調にキャリアを積む中でコロナが襲い、仕事が激減するとともに収入も減った。「今までの人生はやらないで後悔することが多かった。コロナ下で50歳という年齢に差し掛かり、技術やアイデアを自分の店で発信したいという意欲が高まった」と独立を決意。育ててもらった会社に感謝の気持ちを伝え、昨年4月に退職した。
港南区出身の「ハマっ子」。昔ながらで活気のある同商店街に魅力を感じ、すぐ近くで開業した。コロナの影響で持ち帰りの需要が高まったこともあってか、開店当日からにぎわいを見せている。「このご時世、何が起こるか分からない」との不安もあり、5人のスタッフとともにSNSを活用した宣伝に力を入れて地域定着を目指す努力を惜しまない。
メニューの中心はあくまで食パンだが、ラスクを提供するなどの柔軟さも大切にする。客が飽きないような「変化」を意識し、現在はバレンタインデーに向けた企画を検討している。
店内ににっぽん丸の絵を飾り、持ち帰り用の紙袋に客船の絵をあしらう。店名の「105」はにっぽん丸で世界一周する際の日数だといい、古巣への感謝を忘れない。「お世話になった方々からの応援が力になる。にっぽん丸で出してきたパンに形や味わいは似ているが、自分なりのこだわりも詰まっている。そうした異なる部分に気付いてもらえれば」と話し、人生の新たな船出に向かって精進していく。
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