▼第4期南区地域福祉保健計画が策定され、計画に基づく取り組みが4月から始まった。同計画は、市内各区で定められているもので、5年ごとに見直される。「誰もが安心して自分らしく健やかに暮らせる地域づくり」を目指し、南区では区全体計画と16地区ごとの地区別計画を策定した。「福祉」というと、高齢者に特化した計画と思いがちだが、内容を見ると、子育てサロンや近年増えているこども食堂に関する取り組みも盛り込まれており、全世代に関係するものである。
▼地区別計画策定にあたっては、区職員や地域ケアプラザなどの施設職員と地域住民が話し合いを重ねて合意形成を図ってきた経緯がある。コロナ禍で対面での話し合いが進まない困難がありながらも、計画策定に漕ぎつけられたのは、これまでの行政・施設と地域住民の関係が強固に築かれていたからだろう。今後の計画実行もこの関係が基本になっていく。
▼現在の社会を取り巻く状況から、地域の課題やニーズは複雑化している。進み続ける高齢化はもちろん、子どもの貧困や災害への対応にコロナ禍が追い打ちとなり、目に見えない困難も広がる。そうした課題を解決するには、現場の実態を正しく把握することが何より必要だ。地域では自治会町内会の役員や民生委員といった従来からの担い手の存在だけではなく、日中は地域から離れていて、組織に関わりが少ない現役世代へ目を向けることも忘れてはいけない。計画推進には役割にこだわらず、地域を広い視野でとらえ、SNSなど、今の社会に合った情報共有法で対応することが求められるだろう。
▼コロナ禍で地域行事や会議がなくなり、行政職員と住民が顔を合わせる機会が減っている。区や地域ケアプラザは地域を支援するチームを組織するが、現場へ足を運んでの情報収集や関係構築は依然として重要だ。奇しくも、4月に就任した鈴木健一区長は「現場主義」をモットーに掲げる。感染予防策を講じた上で、現場を知り、計画に沿った地域づくりが進むことを期待したい。
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