ロシアの侵攻を受けるウクライナから家族で横浜に避難してきたムリアフカ・ウラジスラバちゃん(2)が異国での生活に戸惑いながらも南区内の幼稚園で初めて尽くしの経験を通し、少しずつ日本になじんでいる。言葉は通じなくても、絵やジェスチャーでコミュニケーションを図り、楽しい園生活を送る。
ウラジスラバちゃんは母親、姉とともに日本にいる親族を頼って、3月26日にウクライナ中東部のクレメンチュクから来日し、南区六ツ川に避難してきた。保育所探しに苦労する中、横浜市などから紹介された南白ゆり幼稚園=六ツ川3丁目=に入園。未就園児クラスの「コアラクラブ」に通うことになった。
身振り、絵で意思表示
5月16日、幼稚園に初登園。「ヴラダちゃん」という愛称で呼ばれている。最初は緊張と不安で涙が止まらなかったが、童謡を歌ったり、ダンスを踊ったりして園児と交流するうちに笑顔になったという。クラスメートとともにブロック遊びをするのが好きだといい、クラスになじんでいる。
日本語や英語が話せないため、感情や体調の具合などの意思表示は、母親が描いた絵で伝えている。母親はスマートフォンの翻訳アプリを使って教諭とコミュニケーションを図り、娘の園生活について報告を受ける。
コアラクラブの担任の石井えり教諭は「ヴラダちゃんは真面目で穏やかな性格で、みんなから愛されている」と話し、園生活になじんでいるという。当初は午前8時30分から11時までの登園だったが、5月30日からは午後2時までに。園児とともに給食を食べるなど、毎日が新しい経験の積み重ねだという。
幼稚園が交流拠点
ウラジスラバちゃんは7月16日に3歳になる。8月からは満3歳児クラスに編入し、週5回通う。日本語が話せず、自宅の近くの公園で遊ぶことさえ難しく、幼稚園で友人らと交流する時間は貴重。異国で懸命に生きる彼女の力になろうと、卒園生の保護者が体操着を寄付するなど、支援の輪が広がっている。
同幼稚園の戸井浩理事長は「今のヴラダちゃんにとって、幼稚園が学びと遊びの場。特別扱いはしないで、みんなと同じように接し、成長を見守りたい」と今後も万全な協力体制を整える。
各地で支援の輪
市内には5月28日時点で37組66人のウクライナ避難民が滞在している。市は企業や団体と連携しながら避難民の生活を支援する取り組み「オール横浜支援パッケージ」を立ち上げた。これまでに横浜商工会議所が100万円を寄付するなどの役割を果たしている。
パシフィコ横浜内にある横浜国際協力センター=西区=には避難民のための交流カフェ「ドゥルーズィ」を設置。包括的な支援を進めていく。
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