未開封食品などの寄付を募る活動「フードドライブ」の取組が南区の施設で広がっている。家庭からの燃やすごみの中に、1年間で約8万6千トン(横浜市、2021年度推計)の食品が廃棄されているという課題がある中、10月から開始した施設もあり、食品ロスに歯止めをかける機運が高まっている。
フードドライブは家庭で使い切れない食品を施設やスーパーマーケットなどが回収し、福祉施設や団体に寄付する取組。募集食品は未開封で賞味期限まで2カ月以上ある常温保存が可能なものが対象で、缶詰やレトルト食品、菓子、調味料など。南区では区役所や地域ケアプラザなどに回収箱が設置されている。
区内では、ひとり親家庭の支援や地域交流を目的とした「こども食堂」が地域ケアプラザなどを使って行われているが、新型コロナウイルスの感染拡大を懸念して中止になることもあった。こうした中、フードドライブで集めた食品を手渡す「フードパントリー」は密を避けた状況で実施することができるため、コロナ禍でも継続的に行う施設が見られる。
連携強化で輪広がる
大岡健康プラザ2階の大岡地区センターは、8月からフードドライブを行っているが、活動が思うように広がらなかったという。そこで、施設利用の人通りが多い1階に回収箱を置くことを検討。同プラザ内の南スポーツセンターと大岡地域ケアプラザに協力を呼び掛け、10月15日から3者合同で始めた。
コロナ禍に入り、3者合同で開催している納涼会などのイベントが中止となる中、施設をアピールするきっかけにもなった。大岡地区センターの職員は「センターだけで行っていた時に比べ、寄付の輪が広がった」と手応えを感じている。
永田地区センターは昨年5月からフードドライブを行い、集めた食料品を永田地域ケアプラザに寄付している。同ケアプラザは第3日曜日にフードパントリーを実施し、利用者に手渡している。永田地区センターの職員は「手が回らない部分をケアプラザの皆さんがサポートしてくれる。施設間の交流も深まり、地域を盛り上げる取組をともに考えていければ」と期待を込める。
祭りで100kg
南永田団地で2カ月に1回行われている地域交流行事「つながり祭」では毎回、地域の環境事業推進委員が市と協力し、フードドライブの回収箱を置いている。祭りの参加者からレトルト食品や調味料、菓子などの支援を受け、多い時は100kgを超える寄付が集まる。同委員の女性は「フードドライブを始めてから『もったいない』という感覚が地域に定着した。一人ひとりの思いやりが環境保護につながるはず」と話す。
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