横浜市が自治会町内会の加入世帯減少を受け、活動の負担軽減に向けた動きを加速させている。地震や台風などの自然災害が頻発し、地域で支え合う「共助」の重要性が増す中、自治会町内会の果たす役割は大きくなっている。しかし、加入率は低下の一途をたどっており、市はアンケート結果などを基に新しい自治会町内会活動の形を模索する。
市全体の自治会町内会加入率は昨年4月時点で68・8%。5年間で4・6ポイント減少している。南区は70・4%で全市よりは高いが、5年で7ポイント以上減り、ほかの区も減少傾向。役員・委員などの担い手不足や高齢化、行政からの依頼事務の負担感などが課題となっている。
市は「中期計画2022〜25」で加入率の目標値を73・4%と掲げた。▽魅力を高める▽活動を知らせる▽加入を働きかける――の3つの視点で加入促進に取り組むとし、講習会などを通じ、サイトでの好事例の紹介やチラシ、ポスターなどでの啓発に力を入れる。
また、地域活動推進費として補助金の交付も行うとしている。市民局地域活動推進課は「回覧板や会費の集金などが負担になっているという声が届いている。情報伝達のためのアプリ導入やキャッシュレス決済などをモデル検証し、良ければ広めたい」と話す。
導入を検討している保土ケ谷区の岩井町原第一町内会(小石川悦子会長)は現在、主要役員7人がアプリをテストで使っている。小石川会長は「写真の共有など、情報を瞬時に知らせられるのが良い。うまく活用できれば、今までの紙での回覧や掲示などの負担が減る。若い人も興味を持ってくれるかもしれない」と期待する。
市は7月に「自治会町内会に対する依頼の見直しに向けたアンケート」の調査報告書を発表。市からの情報提供方法に関し、自治会町内会長から「個人的にはデジタル化に賛成だが、高齢者も多く、デジタルのみでは難しい」「高齢者には紙媒体が良い」という意見が出たものの、「紙資料が多過ぎる」「情報量が多くて周知が困難」という意見もあった。
アンケートでは民生委員などの委嘱委員の候補者探しについても聞き、「難しい・やや難しい」との回答が8割を超え、「時間が合わない」「責任が重く、負担が大きいと考えている人が多かった」などの理由が挙げられた。市に対して、委嘱委員の会議や業務量の削減、業務内容説明資料の配布などを求める声が多いことも分かった。
市は、推薦事務の簡略化や活動内容の広報の充実など、改善策を検討し、自治会町内会の負担軽減に向けた取組を強化したいとしている。
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