マンションの防災対策を考える講演会が3月3日、ビエラスタジオ蒔田で行われた。集合住宅が多く建ち並ぶ蒔田地区の宮宿花1・2丁目町内会(平井勝子会長)が主催し、マンション管理組合の役員や住民を中心に約30人が参加。専門家から大地震での被害例や管理組合が行う準備などについて聞いた。住民が町内会に加入しないケースも増えており、町内会は防災をテーマにして、マンションとつながりを作っていく。
講演会を主催した宮宿花1・2丁目町内会は、蒔田中学校や蒔田公園周辺が対象地区。鎌倉街道沿いにあり、利便性の高さから、マンションが多く建設されている。講演会は防災への関心が高まっていることを受けて初めて企画した。
マンション管理組合の役員らに呼び掛け、約30人が参加。前半は南区役所の担当者からマンション内で意識すべき家具転倒防止などの減災行動の説明があった。後半はマンション防災に詳しい「あんぜんマンションプロジェクト」代表の奥田建蔵さんが講演。奥田さんは東京・江戸川区の約440世帯のマンションに住み、「防災委員会」を立ち上げて活動。2016年の熊本地震で被害を受けた住民の話を聞くなどし、マンション防災の重要性を各地で訴えている。
奥田さんによると、東京で防災組織があるマンションは2割程度で、多くの管理組合が何をして良いか分からない状況だという。「発災から72時間はマンション内で対応する期間で、まずは対策本部を立ち上げ、初動対応ができるようにすることが大事」と述べた。ほかにも、地震保険やその後の建物修繕の注意点も紹介された。
集合住宅110棟
講演会の開催に協力した睦地域ケアプラザの調査によると、町内会の範囲にアパートを含めた集合住宅は約110棟あり、そのうち、分譲マンションが約40棟あるという。事前に管理組合に行ったアンケートによると、回答を寄せた13管理組合のうち、防災活動に取り組んでいると答えたのは3組合だけだった。
講演会に参加した管理組合の役員は「今まで防災活動は年1回の避難訓練だけで、住民の安否確認などは行っていなかった」と話し、防災へ向けて本格的に取組を進めたいとした。
地域とのつながり希薄
同町内会には約980世帯が加入している。平井会長によると、マンション全体で町内会に加入し、町内会費が一括で支払われているのが10棟程度。これとは別にマンション住民が個人で加入し、会費を払っているケースもあるという。
一般的にマンション住民は一戸建てに比べて町内会の加入率が低いとされる。平井会長は「マンション住民は、地域とつながる意識が希薄な人が多い。要援護者の安否確認など、災害時の対応は課題」と話す。
マンションと地域のつながりに関し、講演の中で奥田さんは、マンションと町内会が協力して地区の防災計画を策定した地域があることを紹介。その上で「時間がかかるかも知れないが、防災をテーマにマンションと町内会が接点を持つことは重要」と話した。
同町内会は3月17日にマンション防災に関する意見や疑問点を語り合う場を設ける予定で、今後もマンションと地域のつながりを作っていく。
南区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|