台風18号の接近に伴う豪雨により、9月9日午後、南区内の一部の崖地周辺にある291世帯に避難勧告が発令された。昨年10月の台風による崖崩れを契機に定められた方法での初の発令だった。南区役所は4カ所の避難所を開設し、3世帯5人が避難した。勧告は10日午後に解除され、人的、建物被害はなかった。しかし、勧告に気がつかなかった人もおり、区は「周知方法に課題を残した」と改善策を検討している。
市は昨年10月、台風による大雨で起きた崖崩れで2人の死者が出たことを受け、危険度の高い崖地を公表。県から土砂災害警戒情報が発表されると、その崖地周辺に避難勧告を発令する仕組みにした。
9日は断続的に雨が降り、午後1時8分に土砂災害警戒情報が発表され、同時に避難勧告が発令された。区内は危険度の高い井土ヶ谷上町や清水ヶ丘、永田北など17カ所の崖地周辺に住む291世帯599人が対象になった。
区はホームページやツイッターで避難勧告を周知。ほかにも、対象のうち事前に登録していた38世帯にFAXを送付した。
施設に3世帯5人
避難場所として清水ヶ丘地域ケアプラザ、永田地区センター、六ツ川一丁目コミュニティハウス、南区役所の4カ所を開設。区総務課によると、地区センターに同日午後7時前に1世帯2人、コミュニティハウスには10時前に1人、ケアプラザには10日午前0時前に1世帯2人が避難した。いずれも10日午前7時ごろまでに避難所を出たという。
人、建物被害なし
10日午後3時38分に土砂災害警戒情報が解除されたのと同時に避難勧告も解除された。永田北2丁目と清水ヶ丘の崖で土砂流出が起きたが、人や建物に被害はなかった。
避難勧告が出た291世帯のうち、避難したのは3世帯5人にとどまった。永田北1丁目の勧告対象世帯の女性は「テレビで土砂災害警戒情報を知り、勧告が出たと分かった」と話すも「ここにいても大丈夫だと思う」と避難しなかった。
南太田4丁目に住む女性は9日午後4時ごろ、本紙の取材で勧告が出ていることを初めて知った。「対象地域だと分かっていたが、勧告があることを意識していなかった」と明かす。
周知方法に課題
区総務課は避難所に来たのが5人だったことを「勧告中に雨が上がったりして安全だと思っていた方が多かったのかも」と分析。避難勧告の周知方法については「課題を残した」としている。「登録すれば区から避難勧告を知らせるFAXが届くことやテレビなどの情報に注意してほしいということを伝えたい」とし、近日中に対象世帯にポスティングを行い、住民への呼びかけを強める方針だ。
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