市立日枝小学校(堀江邦子校長)と大岡小学校(相澤昭宏校長)の2校が11月2日、生活科と総合的な学習に関する研究協議会の全国大会で授業を全国の教育関係者に公開した。両校とも地域にある商店や歴史などを題材に子どもの探求心を育むような取り組みを長年続けている。同日は各クラスが1年をかけて取り組んでいる内容の過程を公開し、授業を見た関係者から高い評価を得た。両校は大会を経験した教諭の力量向上にも期待する。
大会は「全国小学校生活科・総合的な学習教育研究協議会」などが主催。1、2年生の「生活科」と3年生から6年生の「総合的な学習」について、より良い授業内容を研究する目的で行われている。毎年、1都道府県が開催地域となり、数校で授業を公開。神奈川県での開催は4年前に決まり、以前から生活・総合の取り組みに定評があった両校と戸部小=西区=の3校が公開校に選ばれた。
まちの課題解決へ
日枝小は「体験を通して生きて働く『知』を創造する学びを求めて」を研究の主題とし、児童が主体的に探究することを目指す。
各クラスの担任は年度当初から授業で扱う題材を示しながら、児童の関心や意欲を把握し、教諭のねらいと子どもの願いをすり合わせて内容を決める。
5年3組はクラスの話し合いの中で「日枝のまちの問題は何か」という課題にたどり着き、壁や電柱への落書きが多いことに着目。「落書きを消して、まちをイメージアップする」という目標を立てた。そこから壁画アートへの挑戦を考え、アートイベント「黄金町バザール」を見学するなどして計画を進めている。
2日の授業では、絵を描く場所などを話し合った。担任の岡崎大輔教諭は「落書きが多いというまちのマイナス点をプラスに変えようとしている」と話し、児童が自分の住む地域を知り、愛着を持てるようになっているという。
2日は全国から約400人の教育関係者が見学に訪れた。参加者からは、授業計画の充実度などを評価する声が多かったという。
高山和宣副校長は「地域の何を『財』にして、授業を作るかは教師の力」と話す。さらに、「長い時間をかけて地域との接点を持ってきたからこそできる授業」と強調する。
弘明寺商店街を題材に
大岡小は主題を「自ら学びを創り、生き方を豊かにする子どもの育成」とした。相澤校長は「どんな子を育てたいのか、子どもがどんな取り組みをしたいかが一番大事」と話す。
同校は近くの弘明寺商店街を活用した取り組みが多いのが特徴。今年度は6年2組が商店街とそばにある横浜国大留学生会館をつなぐためのアニメ作りに取り組むほか、5年3組は商店街の魅力を働く人の写真で伝える企画を進めている。
相澤校長は「子どもが外に出ることで地域とのパイプ役になってくれている」という。生活・総合に力を入れることで、「子どもがやりたいことに集中して、粘り強く取り組むようになった」と評し、主体性や協調性が身についたという。「生活・総合は学級経営の柱になる」とし、今後も力を入れて取り組む方針だ。
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